カイロこまば通信 第7回
【2007.02.13 発行】
テーマ:子供の抱っこが与える腰・骨盤への影響
(パート2)
今回も前回に引き続き、育児、それも子供の抱っこをテーマに動きと姿勢との関連性についてお話して行きます。前回は重いお子さんを抱っこした時の影響についてでしたが、今回は軽いお子さんの場合です。(カイロこまば通信第6回もぜひ読んでください)
※骨盤の左右のバランスがキーポイント!股関節付近が痛い方もぜひ!
小さいお子さんを抱っこで寝かせようとして、ゆりかごのようにゆっくりと左右にスイング。早く寝てくれないかな~と待っていると、しばらくしてスゥスゥと寝息が聞こえてくる。ホッとする瞬間ですよね。ところで、ふと気がつくとお尻や足の付け根のあたりがムズムズ痛いというようなことはありませんか?痛みが出てくるまでの時間が日に日に短くなってきていませんか?
軽いお子さんは、重いお子さんの場合と違って腕の力で抱っこできます。でも、抱き手の癖ってありますよね。縦抱っこではお尻を支える腕が、横抱っこでは頭を支える腕が左右どちらかに偏っていませんか? 軽いとはいえ数kgの重さがありますから、習慣的に負担がかかると、左右に偏った荷重は腰や骨盤に負担をかけます。私自身の体験から、特に注目したいのは立った状態でゆりかごのように横にスイングする動きと、抱っこした時に片足に体重を偏らせてしばらく立っているような場合です。どちらも、骨盤の左右のバランスがキーポイントとなります(抱っこに関係なく、お尻や股関節付近に痛みがある方もぜひ読んでくださいね)。
まずは骨盤の役割に関して整理してみましょう。骨盤は、上は背骨と、下は左右の大腿骨(足の骨です)とつながっているため、頭や内臓を支え、その荷重を左右の足に分散させています。とはいえ、歩いたり、横にスイングすると、片足に全体重がかかります。そのたびに上半身のバランスを崩していては視線が安定しませんし、疲労が大きくなってしまいます。少ない運動量で上半身のバランスを保つための構造、それが骨盤なのです(骨盤を横から支える筋肉が左右の傾きを最小限に抑えています)。
さて、ここで一つ検査をしてみましょう! 両肩が床に対してなるべく垂直になるよう横向きに寝てもらい、上に来る足は身体のラインに沿わせるように伸ばします(下に来る足はバランス確保のために股関節・膝を曲げても構いません)。そのポジションから上の足を天井方向にあげてください。左右で行ってみて次の項目をチェックしてください。
- あがる角度に左右差はありませんか?
- 上げ難かったり痛みがでたりしませんか?
- 上げた足が身体のラインより前方にきていませんか?
骨盤の左右のバランスが悪い、骨盤を外側から支える筋肉の働きが十分でない場合は何か気になる点が出てくると思います(腰やお尻の片側に痛みがある方はぜひ試してみてください!)。
話を戻しましょう。軽いお子さんを抱っこするだけではさほど気にならないと思いますが、抱っこしたまま横にスイングしたり、片足に重心を乗せて立っていると偏ったバランスが強調されます。長く続けると、関節は刺激され、バランスを補正しようと頑張っている筋肉がすぐに疲労してしまい、違和感や痛みが出てきます(骨盤の偏りは腰に側弯を作りますから、腰痛や更には肩こりにも影響してきます)。
ではどうすれば良いの?と言うとまずは予防が一番かと思います。痛みが出だすと厄介です。横スイングは違和感が出るようであれば止めましょう!片足に体重をかけて立つ場合も同じです。パパとママで交互に抱っこして一人に負担がかからないようにすることも良いと思います(お互いの協力が大切ですよね)。抱っこに関係なくこの付近が痛い方は、座る時に足を組んでいないか(長く組んでいると骨盤のゆがみを引き起こします)、いつも身体を捻って片側を向いて座っていないか、常に特定の側を下にして硬い布団で寝ていないかなどをチェックしてみてください。習慣になっているとなかなか止められないと思いますが、痛みが出始めると更にバランスは崩れてゆきます。だからこそ、"偏りを長引かせない!"これをキーワードに予防して行きましょう(「なんだ当たり前じゃない!」と思わないでくださいね。予防は得てして当たり前のことから始まるものです)。
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