カイロこまば通信 第14回
【2007.05.28 発行】
テーマ:痛みを引き起こす機能的な問題が気になります!
初めて来院された患者さんには、カイロプラクティックの説明をさせて頂いています。といっても時間の関係上簡潔にということになるのですが、その説明がまだまだ上手くできていないな…と感じることがあります。というのは、患者さんの感じている症状(痛みが中心となりますよね)とカイロプラクティックが目指す機能的な問題の改善との関係が分かりづらいところにあるのだと思います。そこで、今回は"機能的な問題とは何ぞや?"というところからお話して行きたいと思います。
まずは下の図をみてください。
上図右側の構造の変化(ここでは筋肉・骨格の問題に限定しています)というところから説明して行きますが、骨折、捻挫、肉離れ…といった直接的な変化もあれば、加齢に伴う軟骨の変性や骨粗鬆症といった組織的な変化も含まれます。外傷や疾患といった要因で構造に変化が生じると、その周辺の関節や筋肉の働きを阻害し、機能的な問題を生みます。関節や筋肉が本来持つ働きを果たせなくなる(神経系による抑制、関節のロッキング、関節周囲の血流低下や腫脹による阻害…)ことで、可動域が制限されたり筋力が十分に発揮できなくなります。他の関節や筋肉が代償的な働きを余儀なくされ、過度に負担がかかったり、アンバランスを引き起こし、痛みや凝りを引き起こします。それら全体が機能的な問題なのです。
それは決して身体の一部分に限ったものではなく、全身のバランスに影響してきます。弱化した筋肉があればその反対側の筋肉は過緊張するといった拮抗作用が引き金となって、骨盤の傾き、腰の前弯の減少、側弯、頭部の前突といった姿勢の変化を引き起こすのです。
もっとも、機能的な問題は構造の変化だけではなく生活習慣やストレスといった要因からも引き起こされます(こちらの方が多いと感じます…)。進行すると構造の変化を引き起こす(加齢に伴う変性を助長させる…)ことになるので、まさに悪循環のサイクルにはまり込むことになります。悪循環のサイクルは痛みといった症状を強く、広範囲にし、より複雑なものにして行くのです。
悪循環のサイクルから抜け出すことが、今の痛みを改善し、今後の再発や加齢に伴う変性の助長を予防することにつながります。痛みがなくなったとしても構造の変化が進んでいればまた機能的な問題を起こします(構造の変化が自然治癒できる範囲であれば大丈夫なのですが…)。一方、機能的な問題が蓄積すると、徐々に構造の変化が進行します。だからこそ、カイロプラクティックは全身を対象としながら(頭痛だとしても腰・骨盤、更には全身のバランスを見ます)機能的な問題に着目し、改善する、或いは(変化した構造から起こる新たなものを含んで)防ぐことを目的としているのです。
痛みを直接的にブロックする(鎮痛薬や物理療法が得意とする方法です)のではなく、間接的、ですけどその痛みを引き起こした原因を追求して行くのです。構造の変化が進んでいるような場合は、新たな問題を生まないよう定期的な来院をお勧めすることもあります(健康管理の一貫としてとらえて頂ければ幸いです)。
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