カイロこまば通信 第39回
【2008.6.23 発行】
テーマ:運動学的連鎖って何?
今回のテーマは「運動学的連鎖(以下、キネマティックチェーン)」です。
「なぜこのようなよく分からないテーマなの?」というと、姿勢の話をするためには大切なポイントだからです。姿勢のお話はカイロプラクティックでは欠かせません。というのは、カイロプラクティックの基本となるコンセプトの一つにヒトが直立二足歩行になることによって重力からの影響を避けることが出来なくなったという考え方があるからです。重力の影響下で身体を働かせるためにも、キネマティックチェーンは欠かせないのです。
では、キネマティックチェーンとは何でしょう。
一言で言えば、身体の各部分は独立して働いている訳ではなく運動学的なパターンに従って機能的に連結して働いているということです。当たり前のように聞こえるかもしれませんが、膝の痛みを膝だけで…、腰の痛みを腰だけで…考えていると抜けてしまいがちな概念です。個々の筋肉は筋膜(筋肉の線維を束ねている膜…)のネットワークを介して、骨格は関節を介して連鎖しています。もちろん、筋肉と骨格との連鎖もありますし、これらに神経系が大きく関与します。神経・筋・骨格を一つの体系と捉えて全身を評価して行くことが大切なのです。
捻挫等で足裏のアーチを維持する筋肉の働きが低下した状態が慢性化すれば、足→膝→股関節→骨盤→腰部→…と上位に影響を及ぼしますし、もちろん反対側の脚のバランスも変化してきます。骨盤のバランスを維持する筋肉に機能低下が出ることで足の機能に影響を及ぼすこともありますし、首や顎関節の影響が腰痛を引き起こすこともあるのです(全身がキネマティックチェーンの影響下におかれているのですから…)。このような連鎖は動いている時はもちろん、止まっている姿勢にも現れてきます。
私達カイロプラクターは姿勢や筋力検査から得られる情報がとても多いことを知っており、活用しています。もちろん、整形外科の先生方も知っている筈です。とはいえ、検査方法は他にもたくさんありますから画像診断等の検査方法を優先されることも当然なのかもしれません(西洋医学として確立された診断方法がある訳ですから…)。
ただ、姿勢をみる(静的な状態…)、動かしてみる(動的な状態…)、筋力をみる(機能的な状態…)といった身体からのサインを詳しくキャッチしてみるとまた違うことが見えてくるものです。
セカンド・オピニオンという言葉を耳にすることが多くなりましたが、その観点からも、少し違う視点から身体の状態をチェックしてみることも大切ではないでしょうか。その手段の一つとしてカイロプラクティックを選択して頂ければ幸いです。
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