カイロこまば通信 第47回
【2008.12.15 発行】
テーマ:頭蓋へのアプローチ方法のご紹介…
頭蓋骨にも機能障害が起こる…ということを前号で理解して頂けたでしょうか。今回は当院で用いられる頭蓋へのアプローチ方法をご紹介します(当院ではAK【アプライド・キネシオロジー:カイロプラクティックのテクニックの一つ】を用いますが、AKを説明しだすと大変なことになってしまうので、さわりまで…)。
理屈について話し出すと長くなるので、理屈抜きで。まずは息を吸ったり吐いたりする時に頭蓋の個々の骨が動いているということを頭に入れておいてください。例えば蝶形骨と後頭骨という二つの骨の間では下図のような動きをします(横から見た図です…)。
これら2つの骨は付着する脊髄硬膜を介して仙骨(骨盤の中心にある骨です…)と同調して動き、脳脊髄液の循環に関与します。脳神経は蝶形骨や後頭骨、側頭骨にある孔や裂を通って頭蓋の外に出てきますし、蝶形骨には内分泌系の司令塔である脳下垂体が収納されています。頭蓋骨を構成する骨間での動きが損なわれることで神経系や内分泌系の機能が阻害される、逆に言うと骨間での動きを回復させることでそれらの機能を正常な状態に向かわせることができるという考え方です。当院でも、自律神経や内分泌系の問題を抱えていたり、頭痛やめまい、目の疲れ、全身の疲労といった症状を訴えられている患者さんの場合は、頭蓋の機能的な問題を疑います。
ここからは検査に絡む話です。呼吸に伴う頭蓋の動きは全身の筋肉の働きにも影響します。例えば弱い筋肉が呼吸を加えて検査すると力が回復するような場合、逆に正常な筋肉が呼吸を加えると弱化するような場合も頭蓋の機能障害を疑います。頭蓋の関連部分を触ってもらったり、チャレンジといって特定の方向に押したりして筋力が変化するかを調べながら絞り込んで行くのです(それが施術の方向を決めることに…)。
施術はインスピレーション・アシストというテクニックを例に説明します(これは先ほど書いた蝶形骨と後頭骨における動きを回復させる方法の一つです…)。弱化筋が吸気で回復する時に適応となるテクニックですが、障害側の乳様突起(耳の後ろにある側頭骨のでっぱりです…)を吸気に合わせて後方から前方に軽く押します(実際は反発を利用しているのですが…そこの説明は省略で…)。これを数回繰り返してから、再び呼吸を加えた筋力検査を行い、状態の変化を確認します。頭蓋への施術というと何かとんでもないことをされるのでは?と怖がられるかもしれませんが、AKではこの呼吸を用いた方法がほとんどです(後頭骨と頚椎との間の問題にはアジャストメントという瞬発的な力を用いることがあります…)。蝶形骨や後頭骨以外にも、側頭骨や頭頂骨との関係など様々な視点でチェックし、顎関節も必要に応じて確認します(こちらは筋肉のバランスをとることがメインとなりますが…)。
前回もお話したとおり、症状に対する直接的なアプローチではありません。でも、神経系のバランスをとる、恒常性を取り戻すという点において、頭蓋は重要なポイントです。病院とは違うアプローチ…気になる症状をお持ちの方、ぜひ一度AKを試されてみてはいかがでしょうか(もちろん検査陽性が前提ですが…)。
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