カイロこまば通信 第53回
【2009.6.22 発行】
テーマ:骨盤のバランスを崩している時のサインについて
まずは"骨盤のバランスが崩れている状態とは…"からです。
骨盤は背骨が乗る仙骨を中心に、その両側に寛骨(腸骨・坐骨・恥骨が癒合して一つの骨に…)があります。それらは背面では左右の仙腸関節にて、前面では恥骨結合にて連結しており、その部分で可動性があります。その骨盤に動きをもたらすだけでなく、安定をもたらしているのは筋肉です(骨盤の前後左右に付着し、姿勢に応じてバランスを保つよう働いています…)。骨盤周囲にある筋群の働きに前後や左右で差が出ると、可動部を介して傾きが生じ、骨盤のバランスを崩すこととなるのです。姿勢が乱れたり、筋肉の使い方に偏りが出て痛みや疲労しやすい状態になったりと、様々な問題の要因になりますので注意が必要です。
では、具体的なサインを見て行きましょう。
まずは自分で姿勢を見た時に気付きやすいポイントからです。姿見に向かって、両足を揃えて姿勢良く立ってみてください。
- 臍の位置が片側に偏っていませんか?
- 上から見て骨盤の前外側にある出っ張りは対称の位置にありますか?
臍は左右にある腹斜筋(腹筋群の一つ…)のどちらかが優位になると片方に引き寄せられます。腹筋群は骨盤の前方からの安定に関わりますから、骨盤のバランスが崩れていることを示唆しているのかもしれません。また、骨盤の前外側の出っ張りは骨盤の左右への回旋を見るのに適しています。片方が前に出ていると、骨盤の回旋が疑われます。
次に、動きに伴ってみられるサインをご紹介します。
- 最近、膝が何となく痛いとか、不快に感じることがありませんか?
- 最近、「歩き方が前と違う…」と言われたことがありませんか?
膝関節の安定に関わる筋肉は骨盤に付着しているものが多いので、骨盤のバランスの崩れが結果的に膝のバランスの崩れとなって顕在化することもよくあります。もちろんこれは、膝だけでなく脚の使い方にも言える話ですから、歩き方に響いてくるかもしれません(自分で気付くよりも、指摘されることの方が多いかもしれませんね…)。
ただ、傾きがあっても成長に伴ってその傾きを自分のバランスとして適応させている方もいらっしゃいます。そのような方は筋肉の長さに差が出ても(神経的にバランスが取れているためか)働きとしては安定していることも多く、一概に様々な問題の要因になるとは言えません。今回は、最近上記のようなサインが気になるようになった方に向けたお話と思ってください。
なお、これらは一例でしかありません。「何か普段と違うな…」と思ったら、それが骨盤のバランスを崩しているサインなのかもしれないのです。痛みは負担が蓄積されて我慢しきれなくなった後に出てきます。そうならないように、サインに気付いたら早めのチェックを心掛けてください。
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