カイロこまば通信 第57回
【2009.10.26 発行】
テーマ:目の周囲に出る頭痛について…
今回は目の周囲に出る頭痛についてお話します。
というのは、頭痛といっても色々な種類があり、痛む場所も様々です。今回のテーマとなるこめかみや目周囲の痛みは片頭痛の特徴でもあります。ただ、その他の特徴も含めて詳しく伺うと「本当に片頭痛?…」と首を傾げたくなる方も多くいらっしゃいます。もちろん、片頭痛の枠組み自体広がっています(片側だけでなく両側に出るケースとか、前兆のないケースとか…)し、緊張型頭痛との混合型も多く、簡単に切り分けられるものではありません。上部頚椎の問題から痛みが出ることもありますし、こめかみ付近に関連痛を引き起こす筋肉(上部僧帽筋、胸鎖乳突筋、側頭筋など…)もあります。頚椎やそれらの筋肉にアプローチすることで症状が改善することも多いですが、今回は特に頭蓋骨、それも眼窩の外側を構成する頬骨(きょうこつ)へのアプローチに着目してお話したいと思います。
まずは、過去にみさせて頂いた患者さんのケースをご紹介します。
肩こり、腰背部痛と合わせて目の痛みを主訴に来院された患者さんなのですが、昔から寝不足やパソコンをすると目に痛みが出るとのことでした(以外には頭痛はないそうです…)。ご出産後は片目が開かなくなるほど痛くなった…、胃腸の調子が悪くなると目と肩がセットで出てくる…といったお話も伺うことが出来ました。当初は肩こりや腰背部痛に重点を置きながら胸腰椎や首・肩周りの筋肉へアプローチしていたのですが、目の痛みが残るということもあって頭蓋へのアプローチを加えました。その結果、その後2回のカイロプラクティック治療で目の痛みは出るとしてもほんの少しというレベルまで改善したのです。特に、目の周囲にある頬骨縫合の機能障害へのアプローチが効果的だったと感じています。
頬骨がどこにあるかというと、ちょうど眼窩の外側を構成している骨です(下図参照…)。
周囲には前頭骨や上顎骨、蝶形骨、側頭骨といった骨があり、それらは縫合というつなぎ目で接合しています。そこには関節がある訳ではないので、一般にはくっついていて動きのない部分とされていますが、カイロプラクティックやオステオパシーといった手技療法家の中では動きがあると考えるグループもあります。
もちろん、臨床からだけでなく研究も進められており、縫合の中に神経受容器があることや、頭蓋を固定すると身体全体へ影響を及ぼすといった点が確認されています。ということもあり、手技療法では頭蓋へのアプローチが広がりを見せています(当院で用いられるアプライド・キネシオロジーというテクニックでも、頭蓋における機能障害は重視されています…)。
ではそこにある機能障害とは何でしょうか。縫合での問題はお互いの骨が圧迫された状態か離開した状態(もちろん目で確認できるレベルではなく、検査方法からの判断です…)であり、呼吸に伴って動く、ごく微小な動きが阻害されることで生じます。ちょっとした動きなので問題ないのでは?と思われるかもしれませんが、神経受容器が来ているのですから頭蓋全体の連動した動きが阻害されることで神経受容器が刺激され、頭痛様の症状が引き起こされてもおかしくないと考えられるのです。
もちろん、これは原因の一つでしかありませんが、病院では全く気にされないポイントなので、チェックしてみる価値はあると思います。目の周りの頭痛で悩まれているのであれば、ぜひ一度ご相談ください。
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