カイロこまば通信 第74回
【2011.3.28 発行】
テーマ:長時間歩くことで出てくる問題とは…
3/11の地震は、今までとは違う長く大きな揺れで、びっくりしました。震源はどこ?…震度は?…家族は大丈夫かな?…と色々頭の中を駆け巡ったのですが、情報を知るにつれ、とても大変なことが起こったな…と愕然としました。幸い家族や自宅に問題はなかったのでホッとしたのですが、放射線の問題等まだまだ予断を許さない状況なので、ついついテレビやネットのニュースを見てしまいます。子供がまだ小さいということもあり、やはり心配です(テレビ報道で言われているように冷静な対応は必要だと思うのですが、子供達のことを思うと…)。
同じ姿勢で長くテレビをみてしまったり、寝るのが遅くなって睡眠不足になってしまったりといったこともあってか、最近は睡眠不足やストレスがボディブローのように効いてきた気がします(腰がいつもより痛い…疲労が抜けない…etc)。患者さんと話していても、緊張感が続いているとか、肩こりがひどくなったといった声を聞きます。そろそろ少しずつでも気分転換しないといけない時期にさしかかっているのかもしれませんね(原発のニュースは心配でついつい見てしまうのですが、それがストレスとなっている気がしてなりません…私だけではないですよね…)。
さて、今回のテーマは地震と関連付けてと思ったのですが、なかなか良いテーマが思い付きません。なので、地震当日職場や出先から長時間かけて歩いて帰ったといった話から(患者さんからもよく聞きました…)、今回は長時間歩くことで顕在化されてくる問題点について紹介したいと思います。
「普段は歩いても大丈夫だけど、今回のように長時間歩くと腰痛が出てくる」という方は多かったのではないでしょうか。筋肉疲労もあるので2・3日は痛みが出てもおかしくないのですが、2週間ほど経過した今も何となく腰が痛い、重いという方はいらっしゃいませんか? 歩くことは健康増進という観点から良いことですが、今回のように急に長距離歩かなければならなくなった…それも革靴やパンプスで片側に荷物を持って…という場合は痛みを引き起こす要因になりえます。
革靴やパンプスは衝撃を吸収する素材が使われていませんし、足底のアーチを崩しやすいので、そのまま衝撃が足首、膝、股関節へと伝わります。本来であればそれらの関節はショックアブソーバーの役割を持っているので、徐々に衝撃を吸収するのですが、例えばどこかの関節に退行性変性が生じていて関節軟骨(膝では半月板…)が磨耗しているとすると、その関節は衝撃を吸収することが出来ません。その結果、同側の上位レベルに過度の負荷を強いることになり、左右のバランスが崩れます。それを補正するために骨盤や腰椎が傾きをもつのですが、その傾きを作るのが骨盤の左右にある仙腸関節と腰椎との境目(腰仙移行部)です。
仙腸関節はもともとさほど可動性のない関節ですが、年齢に伴って徐々に硬化します。硬化はアンバランスを吸収する働きを発揮できずに傾きを強めます。骨盤が腰仙移行部で傾けば背骨も傾く(側弯を作ります…)ことで機能障害が生じる…それが慢性化すると腰椎の間にある椎間板は左右で楔形になるしかなく、椎間板の変性を引き起こしてしまう…変性は痛みを引き起こし、更なるアンバランスを引き起こす…。まさに悪循環ですよね。
悪循環を断ち切るためにも、各部の機能障害を改善させることは大切です。ただ、生じた退行性変性は簡単によくなるものではありません。まずは、関節の可動性を徐々に改善させて機能性を高めること、更には傾きを慢性化させてしまう筋バランスを改善させること(弱化筋があるとバランスはキープできません…)が大切です。それによりショックアブソーバーとしての機能も回復してきますので、結果、悪循環を断ち切ることができるのです。カイロプラクティックはそのような機能障害の改善を目指したアプローチですので、腰痛や腰の重みが残っていると言う方は、ぜひご相談ください。
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