カイロこまば通信 第93回
【2012.10.29 発行】
テーマ:AKでの筋力検査の使い方…
前回MMT(徒手筋力検査)について紹介したので、今回は当院で用いているアプライド・キネシオロジー(カイロプラクティックのテクニックの一つで、1964年にジョージ・グッドハートJr. D.C.によって発表された身体機能の評価・治療システム。以下、AKと記述します…)におけるMMTの使われ方について紹介します。
AKにおけるMMTは、筋肉の強い・弱いといった強さをみるものではなく、神経システムがどのように筋肉をコントロールしているかを評価する方法として捉えています。私自身、"強い"・"弱い"という表現を用いますが、検査対象となる筋肉が"促進されている"・"抑制されている"という意味合いが含まれています。もちろん純粋に筋肉が弱くなっている(筋肉が萎縮している…)場合もありますが、純粋に弱くなっているとしても、筋肉を活性化させるために神経システムに働きかける(筋肉内にある筋紡錘という長さをコントロールする細胞を刺激する…)といった施術を行いますので、抑制されている、いないに関わらず、筋肉がコントロールできているかどうかといった点を判断しています。
次に、MMTの結果をAKではどのように用いているかという点を紹介します。
MMTが弱かった場合、その筋肉は十分な機能を発揮できていないと判断します。関節の可動性や安定性を損なっているかもしれませんし、痛みの原因になっているかもしれません。弱い筋肉は神経作用で抑制されている可能性がありますから、筋肉だけでなく、抑制に関わるポイントを調整する必要があります。背骨や骨盤がその一つになる訳ですが、それ以外にも関わるポイントがあるかもしれません。それを探す手段としてもMMTを活用します。方法は、関連する部位に触れてもらったり、特定方向に押圧を加えたりといった方法をとりながら、筋力の変化を探ります。筋力が改善するポイントがあれば、そこに何らかの施術が必要と判断します。
一方、MMTが強かった場合、その筋肉は正常な筋肉なのか、それとも過緊張した筋肉なのか、負荷をかけるとすぐに弱くなる筋肉なのかといった点を切り分ける必要があります。負荷のかけ方としては、筋肉を自分で収縮させた後にどうなるか、ストレッチした後にどうなるかといった点をチェックし、必要な対策をとります。反対の作用の筋肉に弱化がある場合は過緊張を疑いますが、AKの考え方からすると弱化筋を改善させることが過緊張の改善につながるため、まずは弱化筋への施術を優先します。
とはいっても、これらすべてを各筋肉に対して行うことはできません(時間的にも、負荷の面からも…)。なので、症状や姿勢、身体の動きから対象となる筋肉を絞り込んでいるのです。
他の方法として、筋力のしっかりした正常な筋肉を指標として、問題が疑われる箇所に刺激を加え、筋力低下がでるかをチェックするという検査法があります(AK独自のMMTの使い方…)。これは問題箇所を絞り込む時に使うのですが、弱化筋がない場合や広範囲に関わる問題を判断する時に用います。何故このような変化が出るのかといった疑問があるかと思いますが、筋力は神経系を介してコントロールされているものなので一時的な混乱が生じて弱化が起きると考えて頂ければ良いかと思います(AKとしてはもっと学術的に説明していますが、余計分かり難いような…臨床的に築き上げられてきたものとご理解ください…)。この検査法は、例えば骨盤の傾きをチェックする、頭蓋の問題をチェックする(呼吸による筋力の変化をチェックします…)、歩行の問題をチェックするといった時にも用いますし、調整のためにどの方向に刺激を加えるかを判断したり、調整後の変化を探る方法としても活用しています。
今回は、当院に来院された時に感じる"?"に対して、事前に説明しておこうと思い、AKにおける筋力検査の使い方を紹介してみました。でも、余計混乱されてしまったでしょうか…。MMTをたくさん用いるという点をご理解頂いて、あとは実際に体感して頂くのが一番良いかと思います。ぜひ、どうぞ。
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