カイロこまば通信 第97回
【2013.2.25 発行】
テーマ:首こり・ストレートネックの問題点とは…
今回は首こりについてです。
肩こりを主訴に来院された方に伺うと、首にもこりや痛みがあるとおっしゃられる方は多いです。「首は大丈夫…」という方でも、触診させて頂くとこりや筋緊張がみられたり、(首の前弯が消失した)ストレートネックになっていたり、首の動きが悪くなっていたりといった気になるポイントも…。首こりは頭痛や頭重感を伴ったり、集中力を低下させたりといった問題を引き起こすだけでなく、次のような問題にも関わってくるので、当院では注目しています(詳しく説明して行きますが、2回以上のシリーズものになりそうです…)。
- 首こりの慢性化は、首の老化を早める原因になる。
- 首のトラブルは腰痛や脚の痛みといった下半身のトラブルにも関わる。
1番目についてですが、まずはこりについて整理します。
肩であれ首であれこりは筋肉中にある硬くなった部分で、その部分は血流が悪くなって本来の伸びたり縮んだりといった働きを損なっています。こりがひどい状態であればこりのある筋肉自体十分な働きを果たすことが出来ず、その筋肉が姿勢を維持する働きであれば姿勢に影響が出てくるのです。
では、首こりだとどうでしょうか。頭を動かしたり支えたりする役割を果たしているのが首の筋肉ですから、例えば背中を丸めてPC作業をしているとか、頭を垂れた状態で本を読んでいるといった無理な姿勢を長く保つとこりが作られます。こりができると、その筋肉は十分な働きが出来なくなり、筋疲労が早まります。姿勢の悪さに伴って慢性化することで首前後のバランスを崩し(首の前側の筋肉は短くなって後側の筋肉は伸びてしまう…)、ストレートネックが形成されることが多いです(顎が前方に突き出た姿勢からクレーンネックと言われることも…)。
首は本来7つの骨(頚椎…)が弓状に連なって前弯を形成していますが、それらの骨の間には椎間板という軟骨のクッションがあります(前側に椎間板が、後側に椎間関節があります…)。その椎間板の厚み・形もあって前弯が形成されるのですが、首を前に突き出す姿勢は椎間板を圧縮することで前弯を消失させます。この状態が長くなると、クッションの役割が果たせなくなって厚みがなくなります。頚椎は、腰椎などの他の部位と違い、椎間板の外側に鉤状突起という骨の出っ張りがあり、椎間板の厚みが減ると上下椎間での可動性に影響しやすいと言えます(下部頚椎の場合、特に側屈という横に倒す動きの制限が強まります…)。
一方、椎間板は20歳頃までしか血液による影響補給がなされないため、年を経るにしたがって回復力が減少します。と言っても20歳をすぎるともうだめという訳ではなく、動作に伴う椎間板内の圧力の変化によって栄養の取り込みと老廃物の排出が行われます。そのためにも頚椎がしっかりと動くことが必要なのですが、首こりが慢性化している状態だと、筋肉の働きが低下し、伸縮性が損なわれることから、首が普段からあまり動かなくなってしまうのです(動いているようでも、上部ばかり動いて下部はほとんど動かなくなりがちです…)。
ストレートネックとも関連しますが、強い圧力がかかった状態で首が動かないとすると椎間板の退行性変性(加齢からの通常の変化より早く変化してしまうこと… なので、老化を早めると表現させて頂きました…)は進みます(表現が悪いのですが、水の詰まったクッションが干からびてくるような状態です…)。椎間板の厚みがなくなることで上下の椎骨間の高さが減少し、椎間関節の退行性変性につながったり、腕に伸びる末梢神経が刺激されたりといったリスクが高まります(頚椎ヘルニアもそのリスクの一つではあります…)。
とはいっても、すぐに問題が起こるものでもないですし、過剰に恐れる必要はありません。
ストレートネックはPCを使ったりといった現代の日常生活を過ごしていれば生じてくるものですが、みんながみんなヘルニアになる訳ではありません(腰椎ヘルニアだって少ないですが、それよりもずっと少ないです…)。私自身クレーンネックですが、だからといって特にヘルニアを恐れたりすることはありません。ただ、そのままで何もしないということは避けたいところです。首や肩をストレッチするでも良いのです。少しずつでも動かすことは大切です。
今回はここまでとなります
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