カイロこまば通信 第114回
【2014.7.28 発行】
テーマ:低血糖からくる不調は意外と多い…
今回は低血糖についてです。
低血糖とは、血糖値が低くなってしまう状態なのですが、お医者さんに診断されるような低血糖症でなくても、同様の状態は意外と頻繁に生じています。食事で糖分を摂取すれば血糖値は上がります。でも、体内の血糖値を一定に保とうとする働きが身体には備わっていますから、上がった血糖値を下げるために膵臓からインスリンというホルモンが放出され血液中のブドウ糖を内臓器や筋肉に取り込ませます。
ここまでは本来の働きなのですが、現代の食生活では炭水化物が過多になっています。特に精製された糖質が問題で、腸での吸収が早く、血糖値を急激に上昇させてしまうのです(甘いお菓子を食べた後、ジュースを飲んだ後、更には毎食後、血糖値が急上昇しているのです…)。急激に上昇した血糖値は下げないといけません。インスリンを大量に分泌することになるのですが、血糖値はジェットコースターのように急降下するため、本来あるべき範囲を超えて、低血糖の状態が生じるのです。そうすると、身体は糖分を欲するので、また血糖値を急激に上げるような甘いものを食べてしまう…といった悪循環のサイクルにはまってしまいます。
血糖のコントロールが正常に働いていれば、一時的な変動を吸収するぐらいの余裕はありますが、毎日このようなジェットコースターが続いていると、コントロールが上手くできなくなって、機能的な低血糖症が引き起こされるのです。また、大量にインスリンが分泌される状態が続くと、組織でのインスリンの感受性が悪くなってしまい、ブドウ糖を細胞に取り込めなくなってしまいます(インスリン抵抗性と言います…)。ブドウ糖が筋肉や内臓器に取り込まれないと血糖値は高いままになってしまうので、様々な症状が引き起こされます。それがまさにⅡ型糖尿病なのです(インスリン分泌能が低下することでなる場合もありますし、他にも原因はありますが…)。
ちなみに、低血糖で生じる症状には、疲れやすい、だるくてやる気がおきない、集中力や記憶力が低下する、つねに眠くてボーっとするといったものから、イライラしたり、憂鬱になったり、何をしても楽しくないといったものもあります(他にもたくさんありますが…)。このような症状は脳への栄養不足から精神的な問題が引き起こされているのですが(うつと間違えられることも多くあるようです…)、脳を働かせるためにはブドウ糖は欠かせませんから、きちんとコントロールされていること、つまり低血糖にさせないことが脳の健康のためにも重要なのです。
それと、前回テーマとした副腎疲労の症状と似ていることに気づかれた方もいらっしゃるかもしれません。副腎から放出されるコルチゾール(ストレスホルモン…)は、糖質コルチコイドとも呼ばれ、血糖値を上げる働きがあります。副腎が疲弊してコルチゾールの分泌能力が低下することでも、血糖値のコントロールが上手くいかなくなりますから、同様な症状が出てくるのです。つまり、偏った食生活だけでなく、ストレスによっても低血糖になるリスクがあるということです。副腎を含めたホルモンの働きも、血糖値のコントロールもそれぞれだけの問題ではなく、相互に影響し合って複雑な症状を作り出しているのです。症状だけでみると、原因が良く分からないし、いつか落ち着くだろう…と思ってしまいがちですが、ホルモンや血糖値のバランスが崩れたまま慢性化すると、身体の恒常性を維持する機能が働かなくなり、糖尿病やアルツハイマー病といった病気に気付かぬうちに引きずり込まれてしまいます。
では、低血糖や前回お話しした副腎疲労を避けるためには、どのような食事をすべきなのでしょうか。スペースの都合上詳しくは次回となってしまうのですが、とにかく血糖値を急激に上げないようにすることが大切です。まず避けるべきは、お腹がすいたときに甘いお菓子を食べたり、市販のジュースを飲んだりしないこと、ラーメンや丼物以上!といった炭水化物メインの食事をしないこと、ビタミンやミネラルを同時にとるよう心掛けることでしょうか。グリセミック指数についても知っておいて頂きたいし、食べる順番も気にして頂きたいので、そのあたりは次回にお話しします。
※バックナンバー一覧はこちら↓