『筋肉にできるトリガーポイントって何?…』
【カイロこまば通信】

カイロこまば通信は、2006年11月から当院入口で配布してきたニュースレターです。様々なテーマで健康情報を発信していますので、ぜひご覧ください。順次掲載して行きます!

カイロプラクティックこまば
【東京都 井の頭線駒場東大前駅すぐ】

03-5454-2335

ご予約はこちらからどうぞ

テーマ:筋肉にできるトリガーポイントって何?…

今回は、主に筋肉にできるトリガーポイントについてご紹介します。このトリガーポイントは、最近ではペインクリニックでも用いられるようになってきましたので、医師の間でも理解が広まってきているとは思うのですが、"坐骨神経痛と診断されても実はコレ…"といったことは今でもよくあります。

今回は筋肉を中心にできるトリガーポイントについてお話したいと思います。

皆さんは、トリガーポイントというものをご存知でしょうか。トリガーポイントとは骨格筋や筋筋膜の緊張が亢進している線維束内にできる過敏な硬結(凝り)で、そこを押すとジャンプサインと言われる飛び上がるほどの痛みを引き起こす、更にはその部位よりも末梢方向に関連痛という痛みを引き起こすことが診断ポイントとなります。

関連痛領域は筋肉毎に概ね特定されており、例えば小殿筋のトリガーポイントは下肢背外側に広がる痛みを出すため、坐骨神経痛と間違われることがよくあります。首にある胸鎖乳突筋という筋肉にできるトリガーポイントが、こめかみ付近の頭痛を引き起こすこともよくあります。

このトリガーポイントには、活動性と潜在性があって、活動性は活動時だけでなく安静時にも関連痛が生じますが、潜在性は硬結を押すことで関連痛が生じます。潜在性が活動性に、逆に活動性が潜在性にと変化することがあるのですが、筋肉が硬くなったり弱化したままだと活性化されるリスクが高くなり、適切に動かしてストレッチがかかっていると潜在性に転じやすいと言えます。トリガーポイント自体は直接の外傷や筋肉への過負荷、慢性的な筋疲労、冷え、関節の炎症、内臓の病気と色々な要因で発生しますので、活性化させないようにケアしておくことが大切なのです。

このトリガーポイントをどのように治療して行くかですが、トリガーポイントの歴史をご紹介しながらお話することとします。このトリガーポイントを広く普及させたのは医師であるTravellなのですが、1976年にはレポートが出ており、1983年には体系化された本『Myofascial Pain and Dysfunction - The Trigger Point Manual』(TravellとSimonsによる共著)が出版されています。医師でもあるTravellは、そのトリガーポイントに局所麻酔剤を注射する方法を紹介していますが、日本でもペインクリニックで行われるようになってきています(昔からある方法なのですが…)。また、Travellは他の治療法として、冷却スプレーを利用したスプレー&ストレッチといった方法や、虚血圧迫法を紹介しています。カイロプラクティックといった手技療法ではこのトリガーポイント療法を昔から行っているのですが、この虚血圧迫法が主に用いられています。硬結に対して圧迫を行い、開放することで血液を送り込み、改善させて行くという方法です。ちなみに、鍼灸でもトリガーポイントを用いていますが、鍼でそのポイントを直接刺激できるので、羨ましい限りです。

このトリガーポイントは、昨今ではペインクリニックでももてはやされるようになってきましたが、該当の筋肉と放散される関連痛領域についてはTravellの図がバイブルとして今でも用いられるほど歴史のある確立された治療法なのです。「今まで治らなかった痛みの原因はトリガーポイントだ!」といったうたい文句の記事もあったりしますが、それが全てだとは思いませんし、実際違います。ただ、原因の分からない慢性痛でお悩みの場合は、トリガーポイントの可能性も考慮して、一度チェックしてみるべきだと思います。

なお、先ほど紹介した注射や虚血圧迫法は、症状が出てトリガーポイントが疑われた場合に直接的に施術する方法ですが、筋肉に過度な緊張を作らない、弱化したまま慢性化させないというように筋バランスを整えておくことがトリガーポイントを抑え込むためにまず必要なのです。そちらを疎かにして注射や虚血圧迫だけを行ったとしたら、再度トリガーポイントが出来たり、またすぐに活動性に戻ってしまったりということになりかねません。症状のある部位だけを考えるのではなく、全身からバランスを整えておくことは、トリガーポイントの予防という点からも大切なのです。

カイロこまば通信vol129のイメージ画像

※バックナンバー一覧はこちら↓

『カイロこまば通信』索引

【参考に、こちらもどうぞ…】

トップページにリンクするボタン