カイロこまば通信 第130回
【2015.11.30 発行】
テーマ:噛むことの大切さ…
昔の人に比べると、噛む回数が激減している…という話はよく聞きます(戦前の人に比べても半分以下になっているそうです…)。食の欧米化によって硬い物を食べなくなり、子供の顎の発達も変わってしまったと言われます。我が家の娘2人も、顎が狭く歯列矯正を行っています(成長に伴い歯列が崩れてくるわが子を見て、最近の子供の顎が十分に発達していないこと、食文化が変わってしまったことを痛感しました…)。「ADHDといった発達障害の要因の一つに咬合があるのではないか」といった考え方があるように、顎関節が未成熟で良い筈はありません。カイロプラクティックの視点からも顎関節はとても重要です。「このままだと将来どうなってしまうのだろう…」といった不安もありますが、まずは今の大人(親)が噛むことの大切さ、噛まないことの怖さを再認識しておくことが大切なのではないかと思い、今回のテーマとしました(前置きが長くなっていますが、最低2回のシリーズもので考えています…)。
噛むことの大切さをみなさんの共通認識として持って頂きたいので、今回は一般的なお話からして行きます。まずは、学校食事研究会が掲げている食育標語「ひみこのはがいーぜ」をもとに、噛むことの効用をご紹介します。
- ひ…肥満予防
- み…味覚の発達
- こ…言葉の発音がはっきり
- の…脳の発達
- は…歯の病気をふせぐ
- が…ガンの予防
- いー…胃腸の働きを促進
- ぜ…全身の体力向上と全力投球
それぞれの理由を書くとスペースがなくなってしまうので詳しくはこの標語で検索して頂きたいのですが、よく噛むことは
- 脳に働きかける
- 歯や筋肉を強くする
- 消化吸収を助ける
の3点にまとめられると思います。脳への働きかけは、満腹中枢を刺激することでダイエットにもなりますし、子どもの知育・高齢者の認知症予防といった点からも有効です。日常生活のなかで脳の活性化を図れるのですから、利用しない手はないのです。認知症予防に何か新しいことを始めようかな…と思われている方、ぜひ新しいことにチャレンジして頂きたいのですが、普段の習慣から出来るこちらも取り入れてみては如何でしょうか。
歯を強くすること、消化吸収を助けることは、唾液や咀嚼がポイントとなります。よく噛んでしっかりと唾液を分泌させてください。消化液をしっかりと分泌させて食べ物を十分に分解させた上で吸収することが胃腸の調子だけでなく、体調全般をよくするきっかけになり得るのです。筋肉を強くするという点では、"表情を豊かに、発音をはっきり…"があげられていましたが、噛む筋肉にも関わり、顎関節機能障害、更には身体のバランスにも影響します。
どれくらい噛めば良いのでしょうか。歯医者さんからは「ひと口30回噛んで!」と言われます。その数字にも意味はあるようなので(日本咀嚼学会ホームページに「日本咀嚼学会からの発信」というページがあるのですが、そこに詳しく書かれています…)、出来る方は30回噛んだ方が良いと思われます。ただ、「そんなに噛んでいられない…」という方は、ながら食いや早食いになっていませんか? 食事に集中して味わって食べていますか? 食事を楽しんでいますか?というところから普段の食習慣を捉え直してみてはいかがでしょうか。食事をその素材から味わいながら食べてみると、意外と時間がかかりますし、よく噛むことになります。次回もその点からお話して行きますが、必ず30回噛まないと…と意気込んで食べるのではなく、素材の味を感じるように味わって食べてみることから始めてみてはいかがでしょうか。そうしただけでも、今までよりも噛んでいることに気付けると思います。
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