カイロこまば通信 第145回
【2017.02.27 発行】
テーマ:足の横アーチは大切です!…
今回は足の横アーチについてのお話です。
足にあるアーチというと土踏まずをイメージされる方が多いのですが、その部分は内側縦アーチと言います。足には他にも2つのアーチがあって、その一つが外側縦アーチで、もう一つが今回のテーマとなる横アーチです。横アーチは、足趾(ゆび)よりも少し内側の中足骨(5本横に並んでいます…)の部分やより近位の足根骨レベルごとにあるのですが、縦アーチほどしっかりとしたものではなく、特に中足骨レベルは歩くときに体重がかかるとつぶされるような柔軟性のある構造です。だからこそ、いつの間にかつぶれた状態のままになっているかもしれないのです。
アーチが崩れる原因は様々です。姿勢や歩き方からの影響かもしれませんし、靴かもしれません。痛みをかばってかもしれませんし、加齢に伴う変化も無視できない要因です。アーチは靭帯や腱といった組織で支えられている構造ですから、足にかかる負荷や使い方の悪さが続くと、組織が伸びてしまい、アーチを維持できなくなってしまうことは理解して頂けると思います。そう考えると、足の前側に体重がかかって、足趾が反ったポジションになりやすいヒールは、横アーチを崩しやすい代表格と言えるかもしれません。女性に多い外反母趾も横アーチの崩れが関わっています(母趾が外反している訳ですから、他の趾も影響を受けて足趾・中足骨の配置が変わり、アーチが崩れます…)。
ただ、ヒールを履かなければ大丈夫という訳ではありません。横アーチが崩れている方は男性にも多くいらっしゃいますから(男性の場合はぺたぺた歩くような歩き方に問題があるように感じます…)。総じて皆さん足趾がうまくつかえていません。足趾を曲げる動きが苦手という方、足趾が反っている方、注意が必要です。趾の付け根ばっかり地面に触れて胼胝ができているという方(踵からついて趾先、特に母趾から抜けて行くといった足底での重心移動が上手くできていないことを示しています…)も要注意です。
横アーチが崩れている場合、その影響を実感してもらうため、当院では筋力が変化するかをチェックしています(AKを用いていることもありまして…)。もともと、当院では腸腰筋の筋力検査をまず行うのですが、弱化している場合、どの部位にアプローチが必要かを判断するため関連しそうな部位に触れてもらったり、呼吸期に合わせて筋力検査をしたりといったことを行います。そのチェックの一つとして、足関節や足趾があるのです(毎回のチェック項目ではなく、疑わしい場合に行う検査ですが…)。横アーチを作る方向に持ってゆくと筋力が改善するケースは多く、足には姿勢や歩行に伴って筋肉にスイッチを入れる役割があることを改めて感じさせてくれます。それだけ、大切な部位なのです。
ただ、崩れた横アーチを取り戻すことは簡単ではありません。関節に刺激を加えればOKというものではないのです。当院でも、足にモビリゼーションを行うことはよくあり、腸腰筋の筋力も改善されるのですが、それで横アーチの崩れが改善したとはお話していません。体重がかかればまた潰されるものですし、靭帯や腱が伸びてアーチが崩れている訳ですから、何かをすればすぐ元に戻るということはないのです(手術をしている訳ではないのですから…)。ただ、足から脳・脊髄に送られる求心性情報が崩れたまま習慣化されないよう定期的にリセットしてあげることは大切です。症状との関連性を探りながらですが、靴の中敷き等で横アーチのサポートをお勧めしたり、足趾のエクササイズを紹介したり、歩き方の改善をアドバイスしたりといったことも加えております(より悪化しないようサポートするというスタンスに近いかもしれませんが…)。
最後にお勧めしたいのが、足趾をもっと使いましょう!ということです。足趾でものをつかめますか? 掴んだまま動かせますか? 足趾は単なる付属物ではありません。使わなければさぼります。さぼると下腿や足底・足背の筋肉が落ちますし、求心性情報も変わってきます。歩き方も崩れてくるはずです。急に頑張ると足底がつったり、痛くなったりするので注意が必要ですが、それはおかしい証拠でもあるのです。使わないことによる将来へのリスクも忘れないようにしたいものです。
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