逃避姿勢(身体の傾き)を伴う腰・右お尻の痛み
【症例報告21】

カイロプラクティックこまば
【東京都目黒区 井の頭線駒場東大前駅すぐ】

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症例のポイント:慢性化した逃避姿勢(身体の傾き)からつくられる機能障害や神経的なアンバランスが、なかなか治らない腰や右お尻の痛みの背景にあることが疑われる症例です。

20代男性。

症状

  • 2年ほど前、腰痛・右坐骨神経痛が出る(朝起き上がれない、歩けないほどの痛み)。
  • 半年ほどして一度症状はなくなるも、その後2・3か月して再発。
  • 腰・右お尻の痛みは立つ時、前屈で増悪する。しびれはない。
  • 右脚の痛みは10分歩くのもきつかったが、2か月ほど前からでなくなっている(整体で施術を受けて)。
  • 整形外科では仙腸関節炎と診断され、AKA法を行うも改善しなかった。
  • 身体が左に傾いていることはご自身も意識されている。

経過

右脚への痛みは整体で改善しているものの、身体の傾きや腰・お尻の痛みがとれないため来院されました。

身体の傾きは右臀部・下肢の痛みに対する逃避姿勢からですが、骨盤の傾きを伴って体幹が左へシフトしている状態で、立位からの体幹屈曲では右臀部の痛みから30度も曲げることが出来ない状態でした。整形学検査である下肢伸展挙上検査(ストレート・レッグ・レイジング)でも30度までしか挙上できないのですが、しびれは出ていません(腰椎ヘルニアはほぼ除外できました)。筋力検査では、右腸腰筋は痛みで力が出せず、左右の大殿筋や左中殿筋にも弱化が認められました。

また、側臥位で右股関節を内転させて右仙腸関節を離開させると痛みが増悪するため、仙腸関節炎は確かに疑われました。ただ、慢性症状ですからそこにかかる負荷を軽減させることが大切です。初回はとにかく骨盤のバランスを改善させる必要があり、ブロックチェックからドロップボードによる矯正を行いました。

立位でのマッケンジーエクササイズ(ラテラル)や、腸腰筋といった弱化筋に対してAKによる調整も行ったところ、施術後は、体幹屈曲での痛みは変わらず残るも、安定して力が発揮できるようになって頂けました。

2回目来院時に伺ったところ、痛みは残るも範囲は狭くなってきているとのことでした。この回からは、神経学も考慮して左右のバランスをとるよう調整を行っています。

初回から1か月ほど経過した4回目来院時には、日常での痛み、身体の左シフトは改善しており、肩の高さの左右差や体幹屈曲45度での制限(痛みではなく…)といった点は残るも、良い状態になって頂けました。ハムストリングスの短縮が強いので、ストレッチをお願いしております。

初回検査では体幹が左にシフトする逃避姿勢が認められたのですが、その姿勢では腸腰筋(腰・骨盤から大腿骨に付着して腰や股関節を曲げる動きに関わります…)に左右差が生じている筈ですし、腰椎自体に傾きがあるのは明白です。背骨(椎骨)には左右に椎間関節がありますが、傾きがあればバランスよく動けませんから、痛みにつながります。

急性の症状であれば痛みを軽減させることが最優先ですし、痛みが落ち着けば自然と逃避姿勢はおさまりますが、この患者さんの場合は慢性症状です。バランスチェックをしても問題なく、その傾いた姿勢でバランスされるよう脳側で記憶されている状態でした。

このような場合、骨盤の機能障害を取り除く、筋バランスを改善させる、更には神経的なバランスを整えることが大切です。

良い状態を脳に覚え込ませなければならず、少々時間がかかるのでは…と思われたのですが、これらに対するアプローチを続けた結果、当初予想よりも早い段階で症状は落ち着きました。

身体の傾きに関しても、ずれていた身体の重心線が中心に寄ってくることを患者さんと一緒に確認しております(逃避姿勢が強かったため、初回来院時から姿勢の画像を撮らせて頂いていましたので…)。

ただ、バランスを崩す要因が全くなくなった訳ではありません。腸腰筋に再度弱化が戻ってくる可能性もありますし、太腿の裏側にあるハムストリングスといった筋肉の短縮が骨盤のバランスを崩す要因になりがちです。この方にも再チェックのお願いをしておりますが、身体の傾きが出るほどの痛みを経験された方は、再発防止のためにも、姿勢や筋力を含めたバランスチェックを一度(できれば定期的に…)行われることをお勧めします


腰痛からの逃避姿勢を紹介する画像

※症例の一覧はこちら→症例報告

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