症例のポイント:改善へのヒントは日常生活習慣に潜んでいることがあります。だからこそ毎回の問診が大切ですし、施術中のコミュニケーションでヒントが出てくることも。
このような患者さんでした
30代女性。
症状
- 頭痛と首の痛み、腰痛で来院。
- 来院前週は頭痛や首の痛みがひどく、ぐったり。
- 頭痛は月に一度ほど。
- 大学生の頃にスポーツで頭を打って以降の鈍痛。
- 肩こりはないも首のごりごり(鈍痛も…)と関連しているかも。
- 腰にも前から鈍痛。
- 妊娠中に骨盤がひらいて歩けなくなったことがある。
経過
頭痛は頭を打って以降という点から、首(頚)の問題も疑われました。
頚部の触診からは下部は可動性があるも上部の制限が強く、屈曲(前に倒す…)、伸展(後ろに反らす…)といった動きではりや痛みが出ていました。また、胸椎上部は圧痛が多く、こちらも含めて可動性を改善させて行く必要があると感じられました。ただ、ここまででは直接的に頭痛を引き起こしやすい部位の確認でしかありません。
腰痛があること、肩甲骨の安定や腕の動きに関わる僧帽筋や大胸筋だけでなく腸腰筋やハムストリングス、大殿筋といった脚の動きに関わる多くの筋肉にも弱化が認められることからも、トータルにバランスを整えていかないと "ぐったり"といった全身に関わるだるさを落ち着かせることができないのでは…と考えられました(全身から評価してこそのカイロプラクティックですから…)。
当院では筋力が改善するポイントを探って行くのですが(指標とする筋肉で…)、頚椎や骨盤だけでなく、お腹を持ち上げることからも筋力が改善することから、骨盤へのドロップや脊柱へのマニピュレーション(手技…)だけでなく、内臓のマニピュレーション(今回は腹部をやさしく持ち上げるアプローチです。ただ、この方は張り(抵抗)が強く、より弱い力で行っています…)や骨盤底筋群の促通(ご出産を経験されている点から…)も行うことで、弱化筋は改善し、頚を動かす際に出ていた痛みやはりは楽になって頂けました(腰から反らす動きでの腰仙部の痛みは残りましたが…)。
2回目来院時にも頚や腰の痛みは変わらず残っており、腸腰筋や下部僧帽筋には弱化が戻っていました(その他の筋肉は改善していたのですが…)。なので、より広い範囲から改善ポイントを探り、頭蓋へのアプローチを行っています。また、頚の痛みに関しては日常からの要因がないかと思い伺ったところ、うつ伏せで寝ているとのことでした。首にかかる負担を考慮して避けてもらうようお願いしました。どちらが効果的だったかは分からないのですが、3回目来院時には頚の痛みは改善していました。
ただ、腰痛はその後も残り、腸腰筋の弱化も戻っていました。施術後は筋力が改善しているので、効果を持続できるよう下部腹筋のエクササイズをお願いしたり、継続的に内臓のマニピュレーションを行ったりしたところ、徐々に改善し、5回目来院時には腰痛も落ち着いて頂けました(腰から反らす動きでの腰仙部の痛みは残ってしまいましたが…)。だるさは残るも、初回来院時のぐったりといった状態にはならず軽いものとのことで、トータル一か月半ほどみさせて頂いたのですが、その間頭痛や首の痛みが再発することはありませんでした(「来院毎に良くなっていると感じる」と言って頂けたことが嬉しかったです…)。
コメント
頭痛には様々な原因がありますから、変化の出ないものももちろんあります。ただ、頚椎(首)や首・肩回りの筋肉に原因がある頭痛は多くありますから、まずはそちらにアプローチすることは適切と言えます。
首は背骨の一部ですし、背骨は骨盤の上にのっています。骨盤は脚周りの筋肉でバランスを保ちますから、それらの筋バランスが崩れると骨盤、更には背骨に影響を及ぼします。首にかかる負担を減らす意味でも、そちらも含めてアプローチすべきと当院では考えています(他の症状でも同じですが…)。
それでも、症状が取れない、筋力の弱化が戻るといったことはあります。その場合、日常生活習慣にもう一歩踏み込んでみると、怪しい点がみつかるということもまた、よくあるのです(この方の場合はうつ伏せ寝でした…)。
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