カイロこまば通信 第9回
【2007.03.12 発行】
テーマ:背骨のお話。動かしたくても動かない…
前号に引き続き、背骨についてお話して行きます。といっても、今回は背骨のある一部分が動かない場合におこる変化です。カイロプラクティックは背骨や骨盤の機能的な問題を重視します。だからこそ、背骨についてもっと知って頂きたいのです。
背骨をしっかりと動かしてあげることは背骨の健康維持、老化防止にとってとても大切なことです(前号と同じ書き始めになっていますが、大切なポイントですので、繰り返し)。とはいえ、今回は、自分で動かしたくてもなかなか動かせない部分があるというお話しです。
背骨は24個の椎骨という骨の集合体であり、その一つ一つの間には関節があります。一つ一つの動きはわずか数度といった動きなのですが、それらが連動して動くので、大きな動きが可能となります。逆に考えると、ある一部分が動いていなくても、他の部分(大抵は動かない部分の上下です)が頑張れば、日常生活ではさほど気になりません。
では、何故そのような動かない分節(上下2つの椎骨からなる背骨の一部)が出来るのかと言いますと…
- 急な動きで関節がロックしてしまった…(どちらかというと急性症状に多いです)
- 姿勢の悪さから常にストレスが加わって…(同じ姿勢が固定からくる変性を助長)
- 倒れた時に痛みがあったのだけどそのままにしておいて…(回復過程での癒着等)
というように様々です(ちなみに、内臓疾患や精神的ストレスも局所的に筋肉の過緊張を生んで背骨の動きに影響を及ぼすことがあります)。始めはちょっとした要因からの痛みであっても、それが筋肉(分節を動かしている深部の小さな筋肉です)の過緊張を生み、虚血を引き起こし、更なる痛みとなるといった悪循環のサイクルに入ってしまいます。慢性化を引き起こし、動きづらさや様々な症状を引き起こすのです。もちろん、加齢に伴う変性も進みやすく、将来的な問題へとつながって行くことが懸念されます。
もう一つ、注意が必要な点があります。それは、動かない分節があると代償的に動きすぎる分節が出てくるという点です。"動きが大きい"と言うと良いイメージで捉えられやすいのですが、本来動ける角度は決まっています。
動きすぎると、分節を安定させている周りの組織が伸びてしまいますし、それらに入り込んでいる神経が刺激されて痛みがでることもあります。動きすぎる部分は"いつも"動きますから、過度な反復からくる損傷も気になります。損傷は炎症を引き起こし、回復過程で関節の癒着となって安定化されてしまうこともあるのです(安定化といっても良いものではありません…)。
ここまで読んでくると前号で書いた内容に"?"と思わるかもしれません(「背骨を十分に動かしても意味がない、それどころか痛むだけじゃない!」という感想ですよね)。確かに痛みがあるのに無理して運動することはよくありません。病気等で過度な運動が身体に悪い方もいらっしゃいます。でも、動かさないと加齢による変性は進むのです。なので、ここで提案です。色々な運動をして欲しいのですが、(運動後に出る筋肉痛は別にして…)痛みが出るようであれば、それも繰り返されるようであればその運動(或いはその方向への動き)は控えてください。他の運動をしても同じような場所に痛みがでるのであれば、一度ご相談ください(動いていない分節の存在が気になる方もぜひ!)。カイロプラクティックでは、背骨の全体的な動き、更には分節の動きを検査しながら、可動性が減少している分節に対してアジャストメントと言われる手技によって刺激を加え、機能の改善を図って行きます。
最後に一言。背骨は動きだけに関わるものではありません。心臓や肺、胃腸といった各種内臓、更には全身の血管、汗腺にまで広がる自律神経が通るルートでもあります。カイロプラクティックの考える健康は背骨の機能回復・維持から来ます。だからこそ、背骨を大切に思って頂きたいのです。
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