カイロこまば通信 第142回
【2016.11.28 発行】
テーマ:効果的にたんぱく質を摂取してください!
寒くなったり乾燥し始めると、風邪やインフルエンザが流行ってきます。それらの対策として手洗いやマスクがよく言われますが、身体の防衛反応である免疫系をしっかりさせることも大切なポイントです。
ただ、免疫系をしっかりさせるといってもどうすれば良いのかわかりませんよね。生活習慣を改善させたり、ストレスを減らしたり、免疫をアップさせる食材を摂ったりと色々言われますが、「こうすれば大丈夫!」という直接的な答えはないと思います。なので、補助となる方法を積みあげて行くのが一番の近道ではないでしょうか。その補助となる一つであって見落としがちな問題として、"たんぱく質の摂取"を取り上げてみます。
たんぱく質が三大栄養素の一つであって、身体の多くを構成する物質であることはみなさんご存知だと思います。結合組織を構成するコラーゲンや筋肉、更には血液の構成成分(ヘモグロビンなど…)もたんぱく質から作られています。更には、身体の中であらゆる働きに関わる酵素、異物(抗原)を除去するための免疫細胞や抗体(免疫グロブリン)もたんぱく質から作られているのです。それらは、常に分解され、作り直されていますので、材料となるアミノ酸は十分に確保しておく必要があります。
たんぱく質は約20種類のアミノ酸の組み合わせによって構成されますが、身体の中で作られないアミノ酸(必須アミノ酸:成人で9種類)もあり、食事から摂取する必要があります。この必須アミノ酸を多種類・豊富に含んでいる食材こそが、良質なたんぱく質なのです。ちなみに、食事から摂取されるたんぱく質には植物性と動物性とに分かれますが、バランスよく必須アミノ酸を含んでいる食材としては肉や魚といった動物性の方が優れているといえます。といっても植物性(豆など…)だとダメということではなく、必須アミノ酸をバランスよく(種類を欠かさないように…)摂取することがポイントです。
ここで、アミノ酸スコアについてご紹介します。何かというと、食品に含まれる必須アミノ酸のバランスを数値化したもので、スコアが100(バランスよく含まれた食品と言えます…)を上限として、それを切る場合その食品で最も不足しているアミノ酸の割合が数値化されます。
例えば、肉や魚、卵といった動物性たんぱく質はアミノ酸スコアが100なのですが、植物性たんぱく質に代表される大豆は含硫アミノ酸(必須アミノ酸の一つ…)が少ないため86となります。肉や魚を食べないと足りない?と思われるかもしれませんが、例えば、含硫アミノ酸を豊富に含んだ精白米(アミノ酸スコア:65でリジンが少ない…ちなみに大豆はリジンが豊富)と一緒に食べることでスコアを上げることができます(さらに卵を加えればより良いです…)。ちなみに、小麦粉(アミノ酸スコア:44)は精白米よりもリジンが少ないので、パンを大豆と一緒に食べたとしても、必須アミノ酸は欠乏しがちです。欧米の食生活には、やはり肉や卵が必要だったと言えるのではないでしょうか。
なぜこの数値が大切かというと、成人で9つある必須アミノ酸のうち、1つでも足りなくなると、それ以上たんぱく質が合成できなくなってしまうという点です。もちろん、摂取量も大事(足りなければ、たんぱく質合成に影響がでます…)なのですが、とる種類も大事なのです。
たんぱく質に関してお話したい内容が、まだいくつかあります。今回は免疫力の話から、たんぱく質不足を避けた方が…という流れでお話しましたが、たんぱく質不足がもたらす問題は、他にもあります。一方で、摂りすぎもまた影響があります。タンパク質の消化・吸収の話を踏まえながら次回お話したいと思いますが、動物性たんぱく質はアミノ酸スコアが良いからいっぱい食べても大丈夫!と思って食べ過ぎることはNGです。様々な食材を適度に食べるという基本は、たんぱく質においても同じですので、年末の忘年会シーズンに向けて注意しましょう。あと、朝食や昼食は食材が偏りやすいので、気にしてみてはいかがでしょうか。
なお、アミノ酸スコアはインターネットで調べて頂ければ出てきますので、一度チェックしてみてください。
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