症例のポイント:出産は普段問題を起こしにくい恥骨結合にもトラブルを引き起こしますから、産後の骨盤のチェックは大切です。
このような患者さんでした
30代女性。
症状
- 産後1ヶ月半経過した段階で骨盤のチェックを希望され来院。
- 前回来院された時の症状である腰背部痛は問題ない。
- 左腕の内側ですじちがえを起こしそうになる。
経過
まずは姿勢検査を通して全体のバランスを、次に筋力を確認しながら骨盤のバランスをチェックしました。その結果、症例07の時に認められた骨盤の傾きは大丈夫だったのですが、やはり恥骨結合部における機能障害は認められました(出産後すぐの方にはよくみられる問題です…)。仙骨の調整などとあわせ再度AK(アプライド・キネシオロジー)で骨盤矯正を行い、1週間後に再確認することとしました。
その結果は、問題なし。3ヶ月後に再確認した時も、骨盤は良い状態をキープできていました。もちろん育児に伴う問題も少々出てはいましたが、初回来院時のようにひどくなることなく終息しております。
ちなみに左腕の症状ですが、こちらは赤ちゃんを左腕メインで抱っこしていることもあって出てきた問題だと思われます。左腕の上腕二頭筋や手関節屈筋群が弱化していたため、そちらを安定させたところ、次回来院時には「気にならなくなった」とのことでした。
コメント
妊娠前と産後の検査データがあることもあって症例として紹介させて頂くことにしたのですが、やはり恥骨結合部の機能障害がポイントでした。
というのは、この骨盤障害は恥骨を中心とした捻じれで、外傷や脚を良く使うスポーツでの負荷といった直接的な原因がないとあまり問題にならないのですが、全身の靭帯組織に影響が出ている際には影響されやすい部位なのです。分娩時はリラキシンというホルモンの作用によって骨盤を中心に靭帯が緩くなるため、通常だとある程度以上の負荷がかからないと問題にならない恥骨結合でさえ、簡単に機能障害を引き起こしてしまうのです(分娩自体が直接的な原因とも言えるので、産後のママさんにはよくみられる問題です…)。
骨盤の前後左右に付着している筋肉は安定をもたらすと同時に、動作にも関わります。産後で骨盤が安定していない状態だと筋肉が十分に働けず、姿勢や歩行に影響し、新たな機能障害を引き起こすことも…。
もちろん恥骨結合部の機能障害だけでなく、産後は骨盤、その周囲の筋肉の働き、更には姿勢を含めた全身のバランスをチェックすることが望ましい…だからこそ、産後にはカイロプラクティック、出来ればAKでの骨盤矯正をお勧めします。
※症例の一覧はこちら→症例報告