カイロこまば通信 第21回
【2007.09.10 発行】
テーマ:タイミングの崩れを引き起こす神経的な抑制って何?
先ず始めに前号の筋肉痛が起きるメカニズムのおさらいです。遅発性筋肉痛は伸張性収縮運動を行った後に起きますが、伸張性収縮を起こす条件には3つありました。そのなかで次の条件についてカイロプラクティックの視点からお話します。
● 筋力発揮と外力がかかるタイミングが崩れた場合。
何か動作をしようとした時(もちろん脳は必要な力、使う筋肉等をイメージしています…)にタイミングが崩れると、本来必要なパワーをそのタイミングに合わせることが出来ず、腕が持っていかれたり、身体のバランスを崩したりしがちです。ゴルフでダフった時や、乳幼児を抱っこしようとした際に嫌がられて反り返られた時をイメージしてもらえば(しにくいかな…)良いのですが、その瞬間は想定外のタイミングから伸張性収縮が起きているはずです。たまに起きる程度のことなら問題にならないのですが、そのタイミングの崩れが頻繁に起きているとしたらどうでしょう。「たいした運動をしていないのに筋肉痛が…」といった方はもしかしたらこれからの話が当てはまるのかもしれません。
日常で股関節を曲げるといった動きは問題なくとも、その中の特定の筋肉に限定すると力が入っていないということはよく見られます(当院での筋力検査をうけてもらえれば実感できますよ…)。その筋肉自体が弱っていることもありますが、神経的に抑制されているケースもとても多いのです。では、神経的な抑制とは何でしょう。一言でいえば力が発揮できないよう脳や脊髄レベルで抑え込んでいる状態です(セーブしている状態で、全く入らないという訳ではありません…)。
例えば、握り拳を作ってください。簡単に出来ますよね。でもその動作の中には、指を伸ばす筋肉を緩ませるという工程が神経系を介して実行されているのです(反対の作用の筋肉に神経的な抑制をかけることで曲げる動きに抵抗できなくします…)。今は動作の瞬間での話だったのですが、この話に姿勢が絡むとややこしくなります。日常的に抑制された状態が引き起こされているからです…。
いつも座って背中を丸めている…、脚を組んでいる…、肩を前に突き出している…といった偏った姿勢を取っていませんか?
日常生活で行う動作は限定されますから、学生の頃のように全身をフルに使うことをしなくなると、筋肉の使い方の偏りから特定の筋肉が常に緊張しやすくなります。ある筋肉が縮むと反対の作用の筋肉は伸ばされるという相反拮抗抑制作用から、この状態は反対の作用の筋肉を抑制しっぱなしにしてしまうのです(日常あまり使われていない筋肉はこうなりがちです…長期にわたると筋肉自体も弱化してしまいます…)。もちろんこの問題だけではありません。姿勢が崩れることで背骨や骨盤に機能的な問題を引き起こし、背骨から出る運動神経(筋肉を動かしています)自体の働きを阻害してしまうこともあるのです。
では神経的な抑制がかかった筋肉を使おうとするとどうなるでしょう。普段の動作であれば脳が上手く制御(代償作用でごまかしているので、それが良いかは別として…)できますが、普段しない動作をしようとしたらその動作に関する脳の記憶と実際に抑制された状態とが一致しないので、タイミングのずれが生じやすいと言えます。この不一致はほんの些細なタイミングの崩れしか引き起こさないかもしれませんが、運動中繰り返されるとしたら…遅発性筋肉痛の餌食…になってしまいますよね。
ではどうしましょう…。もちろん普段から色々な動作をしておくことが望ましいのですが、なかなか出来ないものです。なので、まずはどのような運動を行いたいのか、そしてどの方向に筋肉を使うのかを整理してみては如何でしょうか。準備運動として、その動作をいつもよりも大きく大げさに、それも太極拳のようにゆっくりと行ってみてください(さらっと数回ではなくじっくりと…)。出来れば反対方向にも大きくゆっくりと行ってください。これで筋肉痛がなくなる訳ではないのですが、運動に必要だけど普段使わずに緊張してしまっている筋肉にストレッチをかけることが出来ますし、反対の作用の筋肉にかかっている神経的な抑制も軽減できるかと思います。やらないよりは…の気持ちで、どうぞ試してみてください。
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