カイロこまば通信 第24回
【2007.10.22 発行】
テーマ:ストレスについて考えてみましょう!!
やらなければならないことが次から次へと溜まる時、思い通りに仕事が進まない時、子供の我がままに振り回されている時などに、ひどく疲れたり、眠れなくなったり、頭痛を感じたりすると、「ストレスかな?」と思ってしまいますよね。
一般的にストレスは精神的なダメージと捉えられがちですが、身体構造、更には内臓にも影響が及ぶものなのです(ストレスの三徴候:副腎皮質肥大、胸腺リンパ組織の退縮、胃内壁の潰瘍性出血)。今回はハンス・セリエ博士のストレス論をもとにストレスが身体に及ぼす影響について勉強してみたいと思います。
ではまず、ストレスの定義を確認しましょう。
ストレスとは、各種のストレス刺激(ストレッサー)に対する生体の全身的局所的な生体防衛反応のことであると定義されています。
つまり、ストレスは身体の中で起こっている反応のことであり、一般的にストレスとして使われる人間関係や仕事はストレッサー(ストレスを誘起するものの総称)と呼ばれるべきものということになります。また、ストレッサーには心身の調子が良くなる(Eustress:ユーストレス)もの(適度の温冷刺激、快感、目的達成など…)と悪くなる(Distress:ディストレス)もの(厳寒酷暑、感染、過労、不眠、恐怖、関係破綻など…)がありますが、もちろん今までの経験や体験が免疫力や適応力となって培われているわけですから、同じストレッサーを受けても引き起こるストレスには個人差があります。
また、ハンス・セリエ博士はストレス刺激を受け続けることで生体が病的状態に移行して行く過程を示しています。時期によって反応が異なるということになるのですが、どのような過程を経るかというと、
- 警告反応期(ショック相と反ショック相に分かれます)
- 抵抗期
- 疲はい期
という流れです(図参照)。
各期の詳細を書いていくと、到底このスペースでは書ききれないので、おおまかにまとめてみます。
ストレス刺激を受けると、身体は体温降下、低血圧、低血糖、神経系の活動抑制といったショックの徴候を示します(警告反応期ショック相)。この段階から胃壁点状出血が認められるのですが、この状態が数分から一日に及んだ後に、ショックに対する防衛反応が開始されます(反ショック相の開始)。副腎皮質の肥大(ストレスホルモンがたくさん分泌されます…)、胸腺リンパ組織の退縮といった内臓の変化が認められ、体温や血圧、血糖も上昇します。この時期は更なるストレス刺激を受けても、その変化に対して安定状態を維持しようとする適応力に長けており、ユーストレスの状態にあるとも言えます(ある程度のストレス刺激は細胞の活性化、神経の連鎖のために必要です。更なる成長を期待できる時期とも言えます…)。
この時期を過ぎると、病態としての安定状態に入り(抵抗期)、副腎皮質の実質細胞の増加や重量の増大を引き起こします。当面のストレス刺激に対しては強い抵抗を示すことができるのですが、他のストレス刺激を受けると意外にもろく、適応の限界に来ていると言えます。更にストレス刺激を受け続けると疲はい期に移行します。適応反応を維持できなくなり、ショック相と同じ諸現象(体温低下、低血圧、低血糖など…)がみられ、最後は死に至るのです。
ストレス反応の行き着く先が死というのは何とも悲しい結末ですよね。セリエ博士は
「個人が人間として生き残っていけるのは、挑戦あり退却あり時にはぐっと踏ん張って耐え忍ぶなどの行動が状況毎に適正にブレンドされているからである。」
という言葉を残しています。挑戦したり退却したり踏ん張って耐えたりと、ストレス刺激を場面に応じて柔軟に対処する、つまりストレスと上手く付き合って行くことの大切さを痛感します。
今回はストレスの概論について整理してみました。次号は("次号から"になってしまうかもしれませんが…)「生体防衛反応であるストレスに対して、カイロプラクティックはどのように貢献できるのだろう…」という観点でお話しして行きます。自分の体験を踏まえながら、自律神経のバランスの崩れや内臓器(副腎や胃…)が疲弊することで起こる筋肉のトラブルといった内容をお話できればと思っているのですが、具体的にはまだ未定。どうなることやら…お楽しみに。
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