カイロこまば通信 第79回
【2011.8.29 発行】
テーマ:ぽっこりお腹はお尻側とのバランスが大切です!
前(第76・77回)にぽっこりお腹や腹筋についてお話しましたが、今回はそれの補足です。ぽっこりお腹の人は下部腹筋が弱い傾向にあるという内容でしたが、合わせてお尻の筋肉が弱化している可能性もあります。下位交差症候群と呼ばれることもあるのですが、骨盤が前傾して腰の反りが強い姿勢の方に多く見られるパターンで、腰痛などの問題を引き起こしやすい状態です。
実際どのようなパターンかというと(図参照…)、下部腹筋が弱いことで骨盤を前側から引き上げる力を失って骨盤が前傾する…合わせて骨盤の後ろにある大殿筋(お尻にある筋肉で、脚を後ろに持ち上げる作用があります…)の弱化が立位で骨盤を脚の背側に引く作用を弱まらせ、より骨盤が前傾するという形です。
弱く伸ばされた筋肉があると拮抗作用の関係から強く短い筋肉があることが多いのですが、この下位交差症候群の場合は腰椎前面から脚に付着する大腰筋という筋肉が緊張することで腰椎を前方に引っ張り、一般的に言われる反り腰を作ります。もちろん背中側にも緊張する筋肉があり、脊柱起立筋という背中の筋肉が収縮することで、こちらも腰の反りを作ります。
このような筋肉の緊張は長く続くと筋肉自体が短くなって短縮した状態になります(逆に弱い筋肉は筋長が長くなる傾向があります…)。今回紹介した筋肉だけでなく、中殿筋や大腿筋膜張筋といった他の筋肉も関わってくるのですが、ここでは省略します。
このような下位交差症候群になりやすい人は、妊娠中や産後の女性、運動不足や不規則な食事等から下腹部が出ている方、年配の方です。
もちろんこのような方がみなさんなるわけではないので、ご自身の姿勢をチェック(立った状態を横から見てもらう…)してもらってはいかがでしょうか。「お腹が出ているね…」、「腰の反りが強いね…」と言われるような場合は疑わしいということになります(もちろん筋力や筋長のチェックといった他の要素を確認する必要はあります…)。
この下位交差症候群で起こりやすい症状は、腰・骨盤の境目付近の痛みはもちろん、背部痛や肩こりにも関わってきます。骨盤の左右の傾きといった要因が加わることで、足の痛みやしびれといった問題も起きることがあります。
疑わしい方は、前に紹介した下部腹筋のエクササイズをしてもらい、下部腹筋を使えるように訓練することをお勧めします。もちろん、大殿筋を鍛えることや、大腰筋をストレッチすることも徐々に加えて行くことが望ましいです。本やネットで調べてエクササイズをしても良いですし、ジムでトレーニングする、全体的によく動かすという点から泳ぐというのも良い方法だと思います。
ただ、筋力検査や筋長検査をさせてもらうと、姿勢だけでは分からない左右差があることも多いです。骨盤に傾きがあることも多く、それらを解消させてからエクササイズをされた方が効果的と言えます。なので、気になるようであれば、一度当院にご来院ください。色々とアドバイスさせて頂きます(反り腰のように見えてもそうでない…という方もいらっしゃいますし…)。
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