カイロこまば通信 第80回
【2011.9.26 発行】
テーマ:大殿筋を鍛える方法をご紹介します!
今回は前回の下位交差症候群に絡めて、大殿筋を鍛える方法についてご紹介します。
まずは大殿筋の紹介から…。大殿筋は骨盤中心にある仙骨という骨から脚(深部は大腿骨、浅部は脚の外側にある腸脛靭帯)に付着するお尻にある筋肉です。筋肉の働きは、脚を後ろに持ち上げる、立位で骨盤を背面から安定させるといった作用です(大があれば中・小殿筋もあるのですが、これらは脚を外側に持ち上げる、骨盤を側面から安定させる働きとなります。参考まで…)。
大殿筋は前回もお話したとおり、弱く伸びた状態になると骨盤を前傾させ、反り腰を作る一因となります。一方、働きは低下しているが特に筋長は伸びていない場合(腰椎がストレートといった他の要因も合わさってですが…)、骨盤を前方に押し出して立つスウェイバック姿勢になりやすいです(この姿勢をとると大殿筋の筋長が相対的に短くなるので力を出しやすくなり、背面からの安定力を確保できるといった理由が考えられます…)。スウェイバック姿勢は、骨盤は後傾(といっても本来が少し前傾しているので相対的な後傾です…)していますが、パッと見ると腰が反っているように見えます。前回紹介した下位交差症候群は骨盤が前傾して腰椎の前弯がきつくなるのですが、こちらの場合は腰椎がストレートの場合が多く、脚と腰が"くの字"を描くように曲がっていることから腰が反っているように見えるのです。この姿勢もまた腰椎と骨盤の境目にトラブルを起こしやすく、慢性腰痛で悩んでいる方に多い姿勢と言えます。
このような姿勢からくる問題を改善させるためにも、腹筋だけでなく、大殿筋も鍛えるべき筋肉です。ただ、大殿筋を鍛えようとすると誤って腰の筋肉を過度に使ってしまい、逆に腰痛を引き起こすことがあります。大殿筋が弱化すると腰の筋肉が骨盤を引き上げることで大殿筋の働きをサポートしようとします。この代償運動が習慣化することで、トラブルが生じるのです。このような姿勢は大殿筋が弱化していなくても他の要因で起こることがありますので、まずは大殿筋が弱いかを調べてみることが大切です。
大殿筋が弱いかどうかは通常筋力検査で調べるのですが、ここでは簡易な方法をご紹介します。うつ伏せになって、膝を伸ばしたまま片方の脚を床から軽く持ち上げてください(つま先が少し持ち上がる程度でOK…持ち上げすぎに注意!)。そのまま少しキープします。この際、脚を持ち上げるのがつらい…、腰がつっぱる・痛い…といった症状が出る場合は大殿筋が弱くなっている可能性があります。このテストはそのままエクササイズになるのですが、腰に症状がでる場合はその前段階として、まずは大殿筋を活性化させる必要があります。
方法は、うつ伏せで両脚を自然に伸ばした状態から、両脚を外側に回す(つま先を外に向けて、両踵を近づけるように…)イメージでお尻の筋肉を収縮させます(左右のお尻の筋肉をくっつけるように…)。その状態を5秒ほどキープして欲しいのですが、その際大殿筋が収縮していますので、その感覚をつかんでください(問題なければ10秒まで延ばしてください…)。
このレベルがクリアできれば、先ほどのテストをそのままエクササイズとして利用します。同じポジションで片方ずつ脚を軽く持ち上げて、5秒ほどキープしてゆっくりと戻します。この際、お尻の筋肉を収縮させることを意識し、腰には負荷がかからないよう注意してください(下部腹筋のエクササイズで紹介したように、腹筋をへこませる力を加えた状態で行ってください。腰に余計な力が入らず効果的です…)。まずは左右交互に5セット行い、大丈夫であれば、キープする時間を10秒まで延ばしてください。エクササイズ中や後に痛みが出るようであればこのエクササイズは中止してください。なお、大殿筋を収縮させることが大切なので、毎回活性化させる運動を行ってから、脚を持ち上げるエクササイズに入るという方法をお勧めします。
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