カイロこまば通信 第135回
【2016.04.25 発行】
テーマ:リアクティブ・パターンって何?…
当院では筋力検査をよく用いますが、通常の筋力を確認するだけでなく、他の条件(筋肉自体に一時的な負荷を加える…、吸気や呼気に合わせる…、骨盤に傾きを作る…etc)を加えることで、筋力検査を通してどこに問題があるかを探るといった手法をとることがよくあります(アプライド・キネシオロジーの検査法です…)。色々な条件があるので、何を検査されているのか戸惑われる患者さんも多いのですが、実際に筋力が変化することを感じて頂けることが多く、「まずは実感して頂きたい!」という当院の方針に沿った検査法と言えます。今回は、その一つであるリアクティブ・パターンをご紹介したいと思います。
まず、"リアクティブ・パターンとは何か…"ですが、通常の筋力検査では正常なのに、他の筋肉の収縮後に続けて検査すると弱化が起きるというケースです。例えば、動作に伴って膝に痛みが出るとします。ふとももの前側にある大腿四頭筋(膝のお皿に付着して、膝関節の安定に関わります…)の筋力検査をしてみても弱化は出なかったのですが、リアクティブ・パターンを疑って腹筋(腹直筋…)を検査した後すぐにもう一度検査してみると弱化が出るといった具合です。
普通に筋力検査をしているだけでは見つからない筋肉の連鎖をチェックする方法でして、スポーツ外傷といった問題でよく見られる(と言われる…)問題です。競技をしていていつも同じタイミングで痛みが出る、同じ部位の障害を繰り返すといった場合に疑うのですが、実際のところ、スポーツ以外でも見られる弱化パターンと言えます。当院では、スポーツ外傷よりも、一般的な腰痛や肩こりに関わって検査している方が多いかもしれません。
このパターンは、弱化が出てくる筋肉(リアクティブ筋と言います…)に問題があるのではなく、先に検査する筋肉(プライマリー筋と言います…)のちょっとした過緊張がリアクティブ筋に影響を及ぼすことによって生じています。つまり、施術対象はプライマリー筋なのです。プライマリー筋の筋紡錘(筋肉の収縮を感知する神経受容器…)に緊張を軽減させるよう刺激を加える方法で調整して行きます。
このパターンがある場合、「痛みの部位にあるこの筋肉が問題だ!」と思ってその筋肉ばかり鍛えても、特定の運動連鎖で筋力が低下してしまい、また怪我をする…ということになりかねません。このパターンを改善させることが大切なのです。もちろん、これがすべての原因ではありませんし、この問題が主原因である可能性は高くはありません。ただ、障害を繰り返すような場合はぜひチェックすべき問題だと言えますし、このような問題があるということは、知っておくべきなのです。
リアクティブ・パターンが見られるのは、同じ作用を引き出す協力筋の場合もありますし、反対の作用がある拮抗筋の場合もあります。また、遠隔部の筋が反応するケースもあります。このパターンが生じやすい筋肉の連鎖としては、上部僧帽筋と広背筋、三角筋と菱形筋、大腰筋(腸腰筋)と股関節内転筋群と様々です(他にもたくさんあります…)が、頚部屈筋群(首の前側の筋肉…)と反対側の大腰筋(腸腰筋)でチェックするとNGになるケースも良く見られます(私が一般的な症状に関わってよく検査するパターンです…)。
なお、それらを全てチェックする訳ではありません(していたら、患者さんも疲れてしまいます…)。スポーツ外傷の場合は痛みの出る動作からその問題を探れば良いのですが、一般的な慢性症状の場合は疑う材料が明確にはありません。なので、筋力が改善されてきても症状が残る時に、その筋肉の弱化を引き起こす要因を洗い出す一環としてチェックすることが多く(私の場合ですが…)、検査してみると、「あれ…」といった形で発見されることが多いです。
このように、AKでは筋肉を色々な側面からチェックして調整します(そうすることで、筋肉の安定化を図ります…)。他にも色々な検査条件がありますので、おいおいご紹介して行きたいと思います。
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