『生化学的レベルでの炎症(第2回)…食事』
【カイロこまば通信】

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テーマ:生化学的レベルでの炎症(第2回)…食事

生化学的レベルでの炎症をテーマとした第2回目となりますが、今回から栄養学的な視点に話を移して行きます。その前段階として、食事が腸での炎症に関わることを、もうすでにご存じだと思いますがお話しておきたいと思います。

今回は生化学的レベルでの炎症についての続きとなりますが、栄養学的な視点の前段として食事について…とテーマを大き目に括ってお話します。

前回、痛みを発する組織レベルでは炎症性・抗炎症性メディエーターといった化学物資が介在していて、それらのバランスによって炎症の鎮静・組織修復が促されているというお話をしましたが、そこからも分かるように炎症は組織の治癒過程の一つであって欠かせない工程なのです。ただ、それが慢性的になると少々話が違ってきます。

例えば自己免疫疾患ですが、免疫細胞の攻撃による組織ダメージは続くものですから頻繁に炎症性メディエーターが放出されてしまうのです。波はありますから修復過程にも向かいますが、抗炎症性メディエーターとのバランスを崩す要因になっていると言えます。自己免疫疾患は全身性のものと臓器特異性のものがありますが、身体の様々な部位で慢性的な炎症が引き起こされる可能性があるのです。ただ、このような疾患までいかなくても、その前段階から、身体の中に慢性的な炎症状態を起こしやすい部位があります。それが、なのです。

腸にて炎症が引き起こされるきっかけは様々ですが、それぞれの背景として、また直接的な原因として大きく影響しているのが食事です。最近耳にするようになった遅延型アレルギー(ショック症状を引き起こすようなigE抗体による急性アレルギーとは異なり、igG抗体などによる食物アレルギーは反応を引き起こすまでに時間がかかりますし、ショックの様な強い症状は引き起こされません…)リーキーガット症候群(腸でのバリア機能の破綻によって、たんぱく質がアミノ酸レベルまで十分に分解されないまま吸収され、それが異物となって免疫反応が生じる…)も食事が引き金になって腸壁で免疫反応、更には炎症が引き起こされています。食物過敏症といったものも、これに当てはまると言えます。

それらの症状は様々で、便秘や下痢、腸炎といった消化器系に関わる症状だけでなく、アトピーを含む皮膚症状、更には慢性頭痛や慢性疲労、不安症といった全身や脳が絡む症状も引き起こされかねません(広大な領域を持つ腸で慢性的に炎症が生じる訳ですから、全身性の様々な症状が引き起こされるのも納得が行くのではないでしょうか…)。そして、これらがやっかいなのは、食事をしてすぐに反応がでる訳ではないため、遅れて出てきた症状と食事内容がリンクされずに原因がなかなか分からない…それによって慢性症状に移行しやすいことです。

もう少し、生化学レベルに寄せて行きましょう。

ある種の食物因子が炎症を発現させることが研究から分かってきているのですが、例えば、果物や野菜、ナッツ、鮮魚といったものは抗炎症性の食物で、穀物(特に精製された物…)や穀物を餌とした家畜肉や卵、加工食品といったものは炎症性の食物と言われます(ネットで検索してもらえれば色々と出てきます…)。個々の食物に含まれる特定の成分が炎症を引き起こすといった機序がそれぞれにある筈ですが、ここではもう少し大きな単位で捉え、血糖値の急上昇をもたらす炭水化物と、摂取バランスを崩しやすい脂質、不足しがちなミネラルがこのような慢性炎症を引き起こす要因となっているという点に絞ってお話して行く予定です(摂取が偏ることで炎症を引き起こす要因になってしまうのですが、スペースの都合上、詳しくは次回以降となってしまいます…)

最後に強調しておきたいことは、腸での炎症でも前回紹介した生化学レベルでの炎症が生じていて、それが侵害受容器を刺激することで脳に過剰な刺激をあげているということです。それが広大な領域から上がってくる訳ですから、脳にとっては不適切な刺激による興奮でしかありません。それが、自律神経系のバランスを崩す要因になりかねないのです。普段食べている食事が腸内で炎症を引き起こして健康を害している…それが何となくだるい…、何もする気が起きない…、自律神経失調かな?といった体調不良の原因なのかもしれないのです。

腸内の炎症が脳への不適切な刺激になることをイメージしてもらうためのイラスト

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