『生化学的レベルでの炎症(第4回)…脂質』
【カイロこまば通信】

カイロこまば通信は、2006年11月から当院入口で配布してきたニュースレターです。様々なテーマで健康情報を発信していますので、ぜひご覧ください。順次掲載して行きます!

カイロプラクティックこまば
【東京都 井の頭線駒場東大前駅すぐ】

03-5454-2335

ご予約はこちらからどうぞ

テーマ:生化学的レベルでの炎症(第4回)…脂質

生化学的レベルでの炎症について、栄養素との関連性をお話する2回目ですが、今回は脂質についてです。ただ、脂質は飽和脂肪酸、単価不飽和脂肪酸、多価不飽和脂肪酸(オメガ3やオメガ6…)と分類する必要があり、説明が多くなってしまいそうです…。

前回に続き、栄養素の観点からの生化学的レベルでの炎症についてですが、今回は脂質についてです。

脂質も前回と同様に3大栄養素の一つですが、どうも必要以上に悪者にされているように感じます(最近の私にとっては炭水化物の方が悪者なような気がしてしょうがないのですが…)。体内で炎症を促進する物質は色々ありますが、脂質の場合、種類、摂り方、バランスが大切で、そのバランスが崩れると代謝過程で炎症を促進する物質を産生するのです(とはいっても、平成28年度の国民健康・栄養調査によると、日本人の男性の30%、女性の40%が脂質をとりすぎているという報告がありますので、とりすぎにも注意が必要です…)

食品としての脂質のほとんどがトリアシルグリセロール(グリセリンに3つの脂肪酸がついたもの…)という形で摂取・蓄積されています。脂肪酸には飽和脂肪酸不飽和脂肪酸(単価と多価に分かれます…)があり、前者は室温で固体に、後者は液体になる性質があります。例えばバターやラードといった動物性の脂肪は飽和脂肪酸を多く含んでいるから固まっています。一方、サラダ油といった植物性の油は不飽和脂肪酸を多く含んでいるため瓶や容器に入っています。

魚のあぶらはいいあぶら…と言われますが、こちらは不飽和脂肪酸(それも健康に良いとよく聞くオメガ3…)が多く含まれていますが、液体かというと疑問ですよね。多く含む…と書いているとおり、両方の脂肪酸が含まれていることは多く、その中での比率でどちらかに分類されがちです(肉や魚、オリーブ油だって両方含まれています…)。ちなみに、飽和脂肪酸は摂りすぎるとLDLコレステロールや中性脂肪を増やすことが報告されているためお肉は悪者にされやすいのですが、加工された油脂よりはよほど望ましいのではないでしょうか(ビタミンも豊富なので、バランスよく食べればお勧めです…)。また、不飽和脂肪酸の中でも単価不飽和脂肪酸はHDLやLDLのバランスを整える上で良い働きをします。単価不飽和脂肪酸であるオレイン酸を豊富に含むオリーブ油が健康に良いと言われる理由です。

一方、多価不飽和脂肪酸はオメガ6(n-6系)オメガ3(n-3系)に分けて語られることが多いのですが、一般のサラダ油はオメガ6であるリノール酸が豊富で、亜麻仁油やえごま油といった健康に良いともてはやされている油はオメガ3であるαリノレン酸を多く含んでいます。ちなみに、αリノレン酸は体内に入った後に代謝されてEPA、DHAとなることで血流改善といった良い効果をもたらすのですが、このEPAとDHAは魚に多く含まれますので、魚で摂取する方が効率的です。

オメガ6とオメガ3の油の摂取は1:1が望ましいのですが、揚げ物を好んで食べたり(とんかつ、から揚げ、フライドポテト…肉自体は単価不飽和脂肪酸も豊富に含んでいるのでお勧めなのですが…)、加工食品を食べたり(安価な油である植物油脂が大量に含まれます…トランス脂肪酸の問題も注意が必要…)と、この比率を大きく崩す食生活になりがちです(欧米では10:1かそれ以上と言われることも…)。できるだけ4:1以下の比率に持って行く必要があるのですが、この比率が崩れるとアラキドン酸(オメガ6であるリノール酸が代謝された形…)から作られる炎症性の脂質メディエーターが増えることになるのです。

それに対し、オメガ3であるEPA,DHAが豊富にあると代謝酵素の競合阻害によって炎症性の脂質メディエーターの生成を抑えることができるのです。更に、EPA,DHAが代謝されて作られる脂質メディエーターには抗炎症作用があることが分かってきており、炎症を抑えるためにも積極的に摂取すべきなのです。

「オメガ3ばかりを摂りすぎても良くないのでは…」と思われるかもしれませんが、現代の食生活ではオメガ6の摂取を極端に減らすことは難しいというのが実状です。なので、オメガ3を積極的に摂って欲しいのです。魚を食べていないという方…外食でも構いません。積極的に魚料理を選びましょう魚料理をイメージしてもらうためのイラスト

※バックナンバー一覧はこちら↓

『カイロこまば通信』索引

【参考に、こちらもどうぞ…】

トップページにリンクするボタン
自律神経をバランスさせるために…にリンクするボタン