カイロこまば通信 第43回
【2008.8.25 発行】
テーマ:産後の骨盤矯正についてです!
ビックニュース!です(といっても私にとっての…なんですが…)。何が?というと、前にカイロこまば通信でも紹介したことがある二人目不妊が改善したという患者さんが、この度無事にご出産されました(第26回:患者さんの声をご紹介します!)。患者さんの人生にカイロプラクティックがほんの少しでも貢献できたのであれば、それはとても素晴らしいことです。私自身にとってもこの仕事をしていて良かった!と思える瞬間でした。出産後に骨盤チェックで来院頂けたので機能的な問題を確認したところ、恥骨結合の部分に問題が認められました。
思い返すと、ホームページの症例報告で姿勢改善の紹介をさせて頂いた患者さんも、出産後の骨盤チェックのために来院頂けました。しばらくしてまた来院頂けるというのはとても嬉しいことです。症状が再発して…となるとちょっと複雑な気分ですが、出産後の骨盤チェックを希望ということであれば純粋に嬉しいです。
ということで、今回は産後の骨盤矯正についてお話します。
まずはリラキシンというホルモンのお話から。
このホルモンは月経や妊娠に伴って卵巣や子宮、胎盤などから分泌されます。出産前になると分泌が盛んとなり、骨盤にある恥骨結合、仙腸関節をガードしている靭帯を緩ませます。靭帯は強靭な組織ですが、分娩の際は緩まないと産道が確保できないので、リラキシンの出番となるのです。ただ、問題は分娩後です。ホルモン分泌量は減少しますが、骨盤の安定には数ヶ月かかります(4~6ヶ月くらいを目途と思ってください…)。その間骨盤、更に全身の靭帯がリラキシンの影響下に入ってしまうのです。
骨盤といっても一つの骨ではありません。寛骨や仙骨、尾骨といった骨の集合体です。分娩はこれらの骨全体が緩んで赤ちゃんが通る訳ですから、骨盤には多大なストレスがかかります(必ず元の安定した状態に戻るとは…言えないですよね…)。また、育児では普段と違って左右の偏りが多い姿勢をキープしなければなりません(授乳や抱っこなどで…)。恥骨結合や仙腸関節(リラキシンの影響で緩い状態にあります…)に捻じれを誘発する力が多く加わるのです。育児中の痛みとなって現れることもありますし、安定状態に戻る際に捻じれたままとなってしまうこともあるのです。
ご出産を経験された患者さんで恥骨結合に機能的な問題を抱えている方は多いです(もちろん仙腸関節といった別の部分に問題がある方もいらっしゃいますが…)。
では骨盤に問題があると、どのような影響が出るのでしょうか。
女性の場合、まず考えるべきは骨盤内にある内蔵(泌尿器系や生殖器系…)への影響です。骨盤の歪みが背骨にも影響を与え、それらから出る神経、特に内臓を支配する自律神経の働きを阻害することが懸念されます。もちろん影響の出ない方もいらっしゃいますが、冒頭で紹介した患者さんのようにもし二人目不妊で悩まれていたり、産後に全身の調子が悪いといった問題がありましたら、このような視点からのチェックを試されてみることをお奨めします。
どのタイミングでチェックすべき?という質問を頂くこともあります。アメリカで書かれた書物では産後なるべく早い段階で骨盤をチェックすべき…となっていますが、日本ではなかなかすぐに来院してもらうことは難しいですよね。なので、産後1ヶ月くらいを目途にチェックさせて頂くことが多いです。また、育児に伴う骨盤の歪みを考慮して、骨盤が安定する産後6ヶ月くらいを目途に再度みさせて頂くこともあります。もちろん、6ヶ月を過ぎたからもう遅い…ということはありません。産後で何か気になる点がございましたら、ぜひ一度ご相談ください。
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