『加齢に伴う重心の取り方…』
【カイロこまば通信】

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テーマ:加齢に伴う重心の取り方…

年を取るのに伴って重心の取り方が変わり、バランスを維持することが難しくなるというのはある程度年配の方であれば共感して頂けるテーマだと思います。転倒予防といった観点も踏まえ、何回かに分けてこのテーマでお話して行きたいと思っています。

今回は加齢に伴う重心の取り方についてです。

バランスをイメージさせるイラスト

もともと人間は直立でのバランス維持は難しく、平衡状態をとろうとすると重心を支持基底面(BOS : base of support…立位だと両足裏とその間に作られる領域…)のなるべく中心に寄せる必要があります。ちなみに、重心がBOSから外れると倒れることになりますから、重心がBOS内に入らない場合は杖をつくといったことが必要となります(杖と両足裏で作られる面がBOSになります…)。上半身には全体重の2/3があり、身体をねじったり、手を伸ばしたりといった足を動かさない動作においても重心は変動します。その変動する重心を転倒しないよう安定限界内にとどめる調節を行う機能が求められるのですが、それがバランスなのです。

機能面からは、姿勢を維持する、重心の移動を調節する、つまずくといった不安定な要素に反応して重心を両足の上にキープする(あるいは戻す…)といった3つの作用に分けられるのですが、視覚や前庭感覚(耳には平衡感覚器としての役割もあります…)、体性感覚(皮膚や関節からあがってくる情報…)、そして運動機能が連携して働く必要があります。ただ、加齢に伴って、それらは変化してくるのです…(視覚に強く頼る傾向にあります。それは、前庭感覚や体性感覚が鈍くなってきているということでも…)

姿勢という点では、加齢に伴ってある程度の規則性で変化します(頭を前に突き出して、胸椎後弯が強くて腰椎が平坦となる、前にかがんだ姿勢です…)し、BOSを広くとる立ち方になってきます。重心の移動という点では、歩く際の両足の間の幅も若年層よりも広くなったり、歩幅も小さくなったり、つま先も床から離れなくなります。想定外の動揺に対する反応は遅くなりますから、それを予防するよう、ゆっくりとした運動に変化して行かざるを得ないのです。加齢に伴って日常生活を遂行する能力が低下してくるのですが、その要因の一つが機能的な支持基底面、つまり安定限界が狭くなることにあるのです。

ではなぜ、安定限界が狭くなるのでしょうか。要因の一つに、重心コントロールにおける運動パターンの変化があげられます。

バランスの維持に使われる姿勢対策としては、足関節戦略、股関節戦略、踏み出し戦略といった方法がとられています。足関節戦略は、比較的小さな動きに対して足関節を中心としてバランスをとるよう姿勢応答を行います(片足で平衡を保つ能力と相関しています…)股関節戦略は比較的大きな動きに対して身体をくの字に曲げるよう股関節を支点に動かしながらバランスをとります(早い段階で動作を始める利点があります…)踏み出し戦略は、重心が安定限界を超えたときに足を踏み出すことで倒れようとする身体を支える動作です。

バランスの維持に使われる姿勢対策をイメージさせるイラスト

本来は足関節戦略が重心に対して広い範囲をカバーできているのが望ましく(足関節の機能が正常であれば、足関節が姿勢を修正することができるのです…)、若い方の場合、股関節戦略はよろめく手前で必要という程度です。加齢に伴って足関節の機能が低下し、この運動パターンが不十分になってくると、身体はより近位(上位…)の関節を早い段階から使って平衡を保とうとするため、股関節戦略で対応する範囲が広くなってしまうのです。また、高齢の方の場合、姿勢動揺に対して、それがわずかであっても足を踏み出すことが多くなります(神経機能、運動機能の低下といった面もありますが、転倒への恐怖もまた一つの要因です…)足関節戦略をなるべく活用できるよう、足関節の機能性を維持(運動性や柔軟性…)しておくことが求められるのです。

このテーマでもう少しお話を続けて行きたいのですが、スペースの都合上、今回はここまでとします。

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