『末梢神経について…(第3回:上肢編パート2)』
【カイロこまば通信】

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テーマ:末梢神経について…(第3回:上肢編パート2)

末梢神経のお話の第3回…上肢(腕や手)編の続きです。

前回は腕の付け根(腕神経叢…)までだったので、今回は指先までお話します。「腕や指にしびれがある」「手や肘が痛い」、これらは神経を介した感覚情報から生じているものです。そのような症状がなかなか改善せずお悩みの方は、ぜひご覧ください。

腕に行く神経は腕神経叢から分かれる神経で、大きくは3本(正中神経、橈骨神経、尺骨神経)、その他皮膚の表面を通るいくつかの皮神経(上腕皮神経、前腕皮神経:詳しくは内側・外側と分かれるのですが…)で構成されています。まずは上肢の皮膚神経支配を知ってもらうのが良いと思いますので、下図をご覧下さい。

上肢の皮膚神経支配を示したイラスト

腕や手がいくつかの領域に分けられていますが、その領域の感覚を支配している神経はそれぞれ別物です。この領域に沿ってしびれが出た場合、支配領域の触覚を検査して強弱を探ったり(神経学検査の一手法です…)、腕や手につく筋肉の筋力検査を行ったりしながら、該当の神経を絞り込んで行きます。

特に筋力検査は二つの意味で重要です。一つはその筋肉を動かしている神経が決まっていること、つまり同じ神経支配を受けている複数の筋肉が弱い場合、その神経が絞扼されている確率が高まるからです(筋肉自体の問題など原因は他にもありますが…)。もう一つは特定の筋肉が過度に緊張したり弱化したりすることで、その筋肉のそばを通る、或いは貫通する神経を絞扼してしまう原因になるからです。

次に必要となるのが神経の通るルートから絞扼されている部位を絞り込んで行く作業です。正中神経は腕の前側を通る神経でそのまま手掌に入ってきます。橈骨神経は腕の背側を通って親指側にたどり着きます。尺骨神経は腕の内側を通って小指側にたどり着きます。おおまかにはこのようなルートを通るのですが、各々何箇所か絞扼されやすい部位があります。絞扼されるとそこよりも末梢の部位に感覚の変化や筋肉の弱化が現れてきますので、検査を通じてどの辺りが怪しいかを絞り込んで行くのです。

具体的に絞扼されやすい部位をあげると、正中神経では手のひらの腕に近い付近で、手根管と呼ばれる神経・血管が通るトンネルです(手根管症候群と呼ばれます…)。この部分は手のひらにある複数の骨(手根骨)がアーチ状に並ぶことでトンネルを形成しますが、お仕事柄等手首をよく反らすことが多い方はアーチが崩れて神経・血管を圧迫し、絞扼による症状を引き起こすリスクが高まるのです(むくみといった別の要因もありますが…)

このようなトンネルは、他にも尺骨神経のギオン管(同じく手のひらの小指側です…)があります。肘関節付近にも絞扼されやすい部位が多くあります。どの神経も肘関節を越える際には浅い部分に出てきますので、上腕から肘に至るときは(筋肉の間隙等を抜けて)深い部分から出てくる領域が、肘を越えてからは深い部分に入り込む領域が、絞扼されやすい場所なのです。

神経の絞扼はしびれや感覚異常、筋力の低下を引き起こす要因になります。ただ、このような症状がなければ絞扼の問題はない…という訳ではありません。手指にしびれはなくても痛みがある場合、その痛みを伝えているのは神経です。絞扼されやすい部位を解放させてあげることも痛みを軽減させるポイントなのです。痛みを和らげるためには、その部位のみ治療するのではなく、その神経のルートを考えてアプローチして行くことが大切なのです(次回は下肢編です…)

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